塗膜防水

東京都塗膜防水技能士会

三好啓一さん

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色鮮やかなウレタンの防水材が、淀みなく塗り広げられていく。足元に材を広げ、ポリベラで大きく弧を描きながら、表面を撫でつける。大胆で繊細な動き。何気ない身のこなしに熟練の技が垣間見える。“腰の運びとリズム感がいいんだ。彼、サーファーだから。”年嵩の職人がリズミカルな動きを評して、そう囁く。屋上全体に広がった鮮やかな塗面が、空の青を映し、輝いている。一瞬、それが海の青に変わり、波間に匠が踊っている。

下地を、見極める

ウレタン塗膜防水は、ビルやマンションなどの屋上、ベランダ、バルコニー、テラスなどに雨水が侵入しないよう防水材を塗布し、適切な膜圧に仕上げる。現場は、下地の状態を見極めることから始まる。
「新築ならほぼ同じですが、改修工事で一度、防水材を塗ってある場合は、状況が変わる。塗られたものが剥がれそうなら、撤去して新しく施工し、劣化が見られない場合は、“オーバーレイ”といって、上から新しい材をのせます。」
作業的にはゼロの状態から塗る方がやりやすく、後々の問題もない。
「表面に肉眼で見えない細かい穴が開いていて、そこから湿気が逃げていることがある。そこにウレタン防水材を重ねてしまうと、蓋をすることになるので、湿気が逃げ場を失って膨れ、劣化を早める原因にもなります。その判断が難しい。」

均一な厚みを、極める

留意するのは、塗布量と膜圧管理。それが表面の均一な厚みを生む。
「膜圧管理とはつまり、均一に塗ることです。ウレタン防水材が均一かどうかは、一目瞭然。塗りに技量が表れます。」
ローラーに材をつけたら、そこに付着した材の分量で同じ範囲を塗っていかなければならない。同じ量でも塗る面積が変われば、材の厚みが変わり、場所によってばらつきが生じてしまう。同じ量の材を、的確に同じ面積に塗ることができるか。この作業を丁寧に繰り返すことで、塗面全体に均一な厚みをつくることができる。
「1平米に対して1ミリ厚のウレタン防水材をつけるとすれば、計算して塗布量を算出し、それを割り付けて塗ればいい。でも、割り付けの目印がなくても、同じ量の材料を同一範囲に塗れるかどうか。そこは経験と技です。」

描いたイメージを、かたちにしていく

全く同じ現場はない。
「まず、仕上がりのイメージを頭に描く。そのイメージ通りに現場で作業を進め、形にしていきます。」
基礎がなければ、応用できない。
「ベースがしっかりできていれば、現場でイメージが湧きます。そこは塗りと同じ。基礎の下地がしっかりしていれば、イメージ通りに仕上がる。」
塗りと仕上げの技術、防水とプライマーに関する知識。そうした土台となる技術や知識の上に経験を積み重ねていく。
「場数をこなしても、基礎がなければ、判断する力は身につきません。よく若手には“考えながら仕事をしろ”といいますが、“なぜ、こうするのか”を考え、どれだけ自分のセンサーを働かせて、周りから情報を吸収できるか。それによって成長の度合いが変わります。」
もともと父親が建設業。その姿を見ていたので、現場には慣れていた。 「父を手伝っていましたが、子供が生まれたタイミングで親元を離れ、自分の力を試したいと思った。サーフィンの先輩だった今の親方に事情を話したところ、“うちに来ればいい”と。それで防水施工の世界に転じました。」
それから約18年。今は若手の育成に心を砕く。
「一人でも多く、同じような考えを持っている技能士を増やしていきたい。」
イメージ通りに仕上がった時の、塗りたての塗面の美しさ。その満足感が、この仕事の最大の魅力。海を愛する波乗りは、塗面にも、きっと大海原を見ている。

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