洋装技術の向上と普及
洋装技術の向上と洋装普及を図り、婦人服装文化の発展に寄与するため、昭和22年4月に創立された日本洋装協会。和裁は生地を平面に仕立て、着付けに重きを置くが、洋裁は着る人の体型に合わせて型紙を作り、立体的に仕立てていく。その技術は、口伝によってすべてを体得できるものではない。“ダーツ”をはじめ、“くせとり”といったアイロン掛けの動き、衿の形を指の動きによる微細な感覚で作っていく“八刺(はざし)”などの技法は、自らの手を動かし、感覚によって覚えていくしかない。
「 “やって見せ、言って聞かせて、やらせて見せ、褒めてやらねば、人は育たぬ”と言われますが、それが技能伝承・人材育成の基本だと思います。」
平面から立体へ
サイズを測り型紙を作成し、その通りにしても、きちんとしたものが縫えるわけではない。
「ベテランになると、初めてのお客様でも体型を見て特徴を掴み、採寸して型紙を作成する際には、その特徴を頭に描きながら、線に微細な修正を加えます。」
人間の体は左右非対称であり、左右の肩下がり、肩甲骨の張り方も違いがある。
「体の微妙な差異を補正しながら、その人が着た時に、いかにきれいで着やすいものにするか。体を包み込むような柔らかい線を出しながら、着崩れすることなく、しっかりフィットしていて、動きやすさや立ち姿の美しさ、佇まい、そうしたものを総合的に表現するのが、洋裁の技術・技です。」
多様な種類と特徴がある生地を扱いながら、その生地をどういう状態で縫えば、きれいに見えるか。その特徴を生かしながら、着る人の個性を引き出すのが仕事。
「生地の風合いによって、縫い方や糸の引き具合も異なるので、数をこなしながら、生地の特徴や糸の調子などを手で覚えていくことが大切です。」
服づくりは、人との関わりから生まれるもの
1級技能士を取得したとしても、そこに“今の時代の要素を取り入れていかなければ、すぐに輝きを失い、古びたものになる。
「人が着るものだけに、今の時代を生きる人の服を手掛け、経験を重ねることで、生きた技能が身についていきます。」
服づくりを通じて、その人の人生に関わりながら、満足していただくために、着やすく美しい服を作る、それが仕事。
「お客様に、すごく着やすくていいわ、と満足していただき、その服を好きになっていただけるのが一番。服を介して関わったお客様、その一人ひとりに育てられています。」
服づくりは、人と人の関わりから生まれるものであり、そこに気持ちを込めるものである。
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#お問い合わせ先
一般社団法人 日本洋装協会
〒113-0034 東京都文京区湯島4-8-3-307
電話番号:03-3814-7023
公式ホームページ:http://nihonyousou.or.jp