洋裁(婦人服・子供服)

東京都洋裁技能士会

小嶌美恵子さん

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服を誂える、という言葉は、どこか特別な響きを持つ。創造する楽しさ。自分だけの服という小さな喜び。そして、袖を通す時、服は自分の一部となって、軽やかに風を纏う。たぶん服を好きになるのは、そんな瞬間があるからだろう。好きな服は、それだけで心地いい。

オーダーとは、技の世界

洋服は今、既製服が主流となり、大勢の人の心を揺さぶる流行の色、デザイン、そして手軽な価格のもので溢れかえっている。だが、オーダーとは、心を込め、時間をかけて一着を作り上げていく。
「オーダーでは、ジャケット、コート等が形崩れしないよう、“毛芯”を使います。衿やラベルがきれいに返るように“八刺(はざし)”を施し、シルエットをきれいに出すために、アイロンの熱や蒸気で“くせとり”や“いせ込み”をします。ミシンや手作業の技で、平面の布を身体のラインに合った立体的な服に仕上げていくのです。こうした技術は、服づくりの要の技として、これからも継承していかなければないものです。」

こだわることが、仕上がりを決める

服づくりでこだわるのは、布がデザインに適したものかどうかということ。そして、地の目をよく見ること。
「生地は、縦糸と横糸で織られており、その糸の方向が“地の目”です。織られた段階では、地の目が少し曲がっていることがあり、ウールの生地などは、“地伸し”をしっかりすることが大切なポイントになります。アイロンで蒸気をかけ、“地伸し”して“地の目”を正し、揃える。着心地にも影響するし、生地が曲がったままだと型崩れの原因にもなります。そして、裁断する際は、生地の“地の目”を通して断つ。そこも、こだわりとして重要です。」

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服づくりの喜び、そして服の力

自分で作ったものを着る。自分が作ったものを、誰かに着てもらう。そこに楽しさがある。 「お客様の思い描いていた通りの服ができて、嬉しそうに喜ぶ笑顔を見るのは、何よりです。一方、自分にとって好きな服ができた時も嬉しい。何より縫っている時間が楽しいし、大好きです。だから、一人でも多くの人に、服づくりの喜びを知ってほしい。自分の好きな布、好きなデザインで、自分を表現する服づくりに取り組んで、自分が手掛けた服を着る楽しさ、喜びを味わってほしいと思います。」
自分の好きな服を着ると、気分は明るくなり、楽しくなる。それが服の力であり、服づくりの根源的な楽しさ・魅力である。自分のために作った、唯一無二の服。そこに込めた想いやこだわりは着心地となり、喜びとなっていく。服とは、人を幸せにするものとして、この世界にいつまでもあり続ける。

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