東京の匠の技

日本料理

一般社団法人 東京都日本調理技能士会会長

濱田貞夫さん

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美しい料理は、美しい動きから生まれる- 切る・煮る・炊く・焼く・揚げる・蒸すといった和の料理を支える、技の数々。それは、調理場に立つ料理人たちの無駄のない動き、連携がなければ成り立たない。そこにあるのは、互いへの気配り・目配りであり、それぞれが料理に込めた想いをつないでいくことが、和の味・美しさを際立たせているといっても過言ではないだろう。

和の味を支えるものたち

和食は、日本の気候・風土、そして人々の気質と分かち難く結びついた独自の料理であり、季節の移ろいから生じる「旬」を手掛かりに、素材の味を巧みに生かしながら、その旨味を引き立てるという特徴を持つ。
料理人として60年以上のキャリアを有する匠は、その一歩を銀座6丁目の名店「割烹中嶋」から始めた。料理人の世界には、血統というものがあるという。
「最初にどの店で修行するか。一流の店であれば、どこへ行っても通用します。」
最初、「追い回し」として見習い修行に始まり、食材の下ごしらえを担う「洗い方」、盛り付け担当の「八寸場」、「揚げ場」「焼き場」を経て、「向板(むこういた)」を任される。
「調理長と向かい合って仕事をする裏方包丁の意味で、いわば補助役。仕入れや献立を把握して仕込みの準備を担います。これを長く経験すると、どんな忙しい店でも通用する。目配り・気配りが利くからです。そして、最も重要なのが“煮方”。煮物担当ですが、出汁とりとタレ作りを任されるので、その味が店の味となる。料理人としての一生も、ここで決まります。」

総合芸術としての、和食

料理は気持ちを込めることが大切、と匠はいう。
「お客様が料理を前にした時のことをイメージして献立を組み立て、どう演出するか。和食は、総合芸術です。吸い物や煮物の蓋を開けた瞬間、季節を香らせる。春なら木の芽、初夏なら柚子、秋ならキノコや松茸。そして、盛り付けを工夫し、どのように感動させるか。それには感性が求められます。つまり、その人の人柄。料理は一汁三菜から始まり、通常は二汁五菜。それを一つの献立としてしつらえる。そこにはストーリーがあり、料理一つひとつに加え、サービス、その場の空間を楽しんでいただくための演出として、花の生け方、掛け軸の季節感、座布団の裏表にまで気を遣います。その細部までの気を配りを徹底するのが、和の粋です。」

料理の想いを、つないでいく

料理は絶えず変化し、終わることがない。
「一生勉強です。時代に応じて変化するし、年齢でも変わる。でも、自分の舌で覚えたものが常に基本。昔は煮方が、鍋に少しだけタレや出汁を残して、洗い場で渡してくれたものです。それをサッとなめて、味を覚えた。日本料理は、昔から“椀刺し”といって、お椀とお造りが華。吸い物の味で、その店の格が決まる。刺身は新鮮なだけでなく、昆布の香りを移すなど、ひと工夫する。そこが、料理人の腕の見せ所です。」
匠は今、自身が培ってきた技の数々を後進に惜しみなく伝え、つなごうとしている。その想いは、やがて新しい芽吹きとなって、和の新たな味として大輪を咲かせることだろう。料理への想いは、つながっていく。

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#お問い合わせ先

東京都日本調理技能士会
〒105-0012 東京都港区芝大門2-12-5 モンテベルデ芝大門304号
電話番号:03-6435-8552
公式ホームページ:http://www.nihon-chori-ginoushikai.jp

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