和菓子で、世界に笑顔を catch
#113

和菓子

和菓子で、世界に笑顔を

青山紅谷
青木 龍之介さん

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餅米、小豆(あずき)、大豆、葛(くず)、米粉など、自然の素材を用い、季節の草花や生き物、行事をモチーフに、職人の繊細な手作業によって生み出される美しく上品な設えの日本の伝統的なお菓子―「和菓子」。四季の移ろいや風情を五感で味わう日本独自の食文化として、国内はもとより海外においても親しまれています。青山紅谷の四代目・青木龍之介さんにお話を伺いました。

基本から学ぶ

基本から学ぶ

家業を継ぐように言われたことはありませんでしたが、子供の頃から和菓子に触れてきて、どこかで和菓子屋をやりたいという気持ちがずっとあったと思います。大学時代は、東南アジアが好きで、バックパックで各地を旅していましたが、いずれは世界に和菓子を広めたいという思いから、卒業後はアジアに展開する飲食店に就職活動もしました。でも、まずはしっかり和菓子づくりを学ぼうと決心し、小石川にある和菓子店に弟子入りしました。家の手伝いもしたことがなかったので、師匠からは、「本当に和菓子屋の息子か」ともいわれました。師匠の考え方で4年以上は居させてくれず、最後の2カ月のお礼奉公も含めて、トータル4年2カ月の修行期間で基本をすべて教わりました。その後は、青山紅谷に戻り、父から学び、奉公先で学んだことを取り入れつつ、二人で考えながら和菓子づくりと向き合っています。新しいことにトライする時も、「好きにやれ」と、柔軟に対応してくれる父には感謝しています。

仕込み

仕込み

和菓子は生もので、作り置きができないため、仕込みは、その日の注文に合わせて行います。桜の季節や年末年始は注文数が多くなる一方、夏場は茶道関連の注文が少なくなるなど、季節によって作る量は変わります。学校の紅白饅頭やアパレルブランドの記念品のお土産など、大型の注文が入ると、1日1,500個以上になることもあり、お店と同時並行なので大変です。でも、そこが楽しいところでもあります。

繊細で感覚的な、小豆を炊く

繊細で感覚的な、小豆を炊く

菓子に欠かせない餡子の材料となる小豆は、10〜11月が収穫期で、収穫後に農家さんが大きさを選別、磨き作業を経て、新豆として届きます。同じ品種、同じ産地でも、一気に収穫されるわけではないので、収穫時期によって微妙に違いがあり、収穫してからの期間、保管方法によっても違いは出ます。水分量の多い新豆は炊く時間を短くしますが、小豆の状態、アクの出方、匂いなどで判断しながら、毎回炊く時間を変えるなど、調整します。夏場はひね豆という、前年以前に収穫された小豆を使うのですが、季節によって水に漬けるか、お湯に漬けるか、水に1日浸すか、2日浸すか、アク取りのタイミングも変わります。すべてが経験による感覚的なものなので、たまにアルバイトで補助に入ってもらう時も、なるべく任せたいと思うのですが、感覚や加減を伝えるのがすごく難しく、機械化も自動化もできない作業です。

まずは好きになること

まずは好きになること

和菓子の基本は、「包む」。大福も練り切りも、中の餡を生地の餅や練り切り餡、葛で包む作業が必要になります。修行中、移動時は常にゴルフボールを握りしめて、包む動作の練習をしていました。どれだけ数をこなしたかが技術の向上につながるので、まったくゼロからのスタートだった自分は、修行先で専門学校出身の先輩や後輩に負けないよう、必死で練習しました。師匠から言われたのは、「いちばん大切なのは、まず和菓子を好きになること」。最近、その意味が少しずつわかるようになりました。好きでなければ続けられないし、練習もしない、試作で新しいことに挑戦しようとも思わないでしょう。和菓子に限らず、どの世界でも同じですが、まずは好きであることがいちばん大切だと思います。

和菓子で、ニコニコ

和菓子で、ニコニコ

和菓子の「和」は、洋菓子の「洋」に対する日本のお菓子ということを表していますが、「和」という字には、「なごやか、おだやか」の意味があり、一文字で「ニコ」と読ませることもあります。二文字続きで「ニコニコ」、つまり「微笑み」。お菓子を食べて、お茶を飲み、自然と笑顔になる、そんな和菓子でありたいという思いで、仕事と向き合っています。お客様に「美味しかった」と喜んでいただく。すごく嬉しいし、それがすべて。そこにやりがいを感じます。そのために日々、ひたむきに和菓子づくりに励んでいます。

和菓子、インドへ

学生時代に旅したインドが好きで、インドのポップアップイベントに参加して和菓子を紹介し、好評だったことから、来年はムンバイに店をオープンする予定で準備を進めています。日本と同じものを現地で展開しても、文化の押し売りになってしまうので、地元の材料を使って現地の人に作ってもらう想定で、最初は3〜5種類くらいで展開するつもりです。和菓子に対する印象を調査したり、ピスタチオを使った餡を開発したり、試行錯誤を重ねているところです。いずれは和菓子を世界に広げ、それを日本に持ち帰り、和菓子の新しい可能性を広げていくのが夢です。

和菓子、インドへ
店舗名 青山紅谷
所在地 東京都港区南青山2丁目17−11
連絡先 03-3401-3246
Instagram 青山紅谷のInstagramへ

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