街を形作る、さまざまな建築物。オフィスビル、マンション、商業施設などの建築物を建てる際には、数多くの技能職種が関わり、それぞれの専門的な知識と技能を活かしてプロジェクトを進めているよ。ビル建設に関わる建築関係の技能職種について、わざねこが紹介するね。
上:タイヤショベルと重機オペレーター
下:とび工
基礎と足場を担う仕事
建設現場で見かける、さまざまな重機。基礎工事で活躍する建設機械や工事用車両の運転・管理を行うのが重機オペレーターだよ。ブルドーザーやショベルカーで土地を平らに整える整地作業、土を掘って土台を造る掘削作業、クレーンやフォークリフトを使った鉄骨や建材の吊り下げ・移動作業などを担当するんだ。
こうした建設現場の高所作業で安全を確保する役割を担うのが、とび工。建物の骨組みや足場の組立・解体、クレーンと連携して鉄骨の組立を行うほか、作業台などの工事用の仮設設備も設置するよ。
左:鉄筋工
右:型枠大工
建物の構造を担う仕事
建物の骨組みとなる鉄筋の加工・組立を担当するのは鉄筋工だよ。鉄筋コンクリート製の建物の基礎、柱、梁、壁などの鉄筋の配置と組立を行い、建物の耐久性や耐震性を高めるよ。
コンクリートを流し込む際の型枠(木製の枠)を設置するのは、型枠大工だよ。建物の構造に関わるので、鉄筋工と連携して仕事をするんだ。型枠の精度が建物全体の強度や仕上がりに影響するよ。
左:電気工事士
右:熱絶縁施工
電力供給や省エネルギー化を担う仕事
建物内の電力供給のためのインフラ整備として、電気配線の敷設、変圧器や分電盤の設置など、電気設備の設計・施工を行うのが、電気工事だよ。照明設備やコンセント、スイッチ類の取り付けから、エレベーターや空調、給排水ポンプといった動力設備の配線工事、また、漏電ブレーカーや避雷針、電気設備のアース設置といった安全確保も重要な役割なんだ。
そして、建物の快適性やエネルギー効率を高めるために必要なのが、断熱・保温工事を行う熱絶縁施工だよ。壁面や天井、床などに断熱材を施工し、外部からの熱の侵入や室内の熱の損失を防ぎ、耐火性の高い断熱材を施工して防火対策を施すなど、快適で安全な住環境と環境負荷の低減に貢献するよ。
左:配管工
右:塗膜防水
建物のインフラを担う仕事
建物内の水やガス、空気の流れを管理する配管の工事を担うのが配管工だよ。飲料水や生活用水を供給する給水配管をはじめ、使用済みの水を建物外へ排出して衛生環境を保つ排水配管、雨水を排水する雨水配管、調理や暖房設備にガスを供給するガス配管、空調システムの一環として空気を循環させて快適な環境を保つ空調配管など、役割に応じて建物内外に通るさまざまな配管の設置を行うよ。
そして、建物を雨や紫外線から守り、防水性能を高めるために施工するのが、塗膜防水。雨水が建物内部に浸入すると、コンクリートの劣化や鉄筋の腐食を招くんだ。だから、屋上やバルコニー、ベランダなどに液状の防水材を塗布して膜を形成することで、雨水の浸入を防ぐよ。
上:内装工
下:タイル工
建物の仕上がりを担う仕事
建物の機能性や快適性、デザイン性を高める役割を担うのが、内装工事とタイル施工だよ。内装工事は、建物内部の最終的な見栄えや住空間・業務空間の質に影響するので、仕上がりがとても重要だよ。壁や天井のクロス張りや塗装、フローリングやカーペットなどの床材の施工、内装の色や素材を工夫することで、住環境の快適性を高め、耐火性能の高い仕上げ材で災害時の安全性も確保するよ。
そして、建物の内外装の美観と耐久性の両立を図るのが、タイル工事。高温で焼き上げた陶磁器製のタイルは、劣化や変色がなく、水や熱に強いので、建物の性能を長く保つよ。表面が滑らかで汚れがつきにくく、衛生的な環境を保つことができるので、浴室やキッチンなどの水回りに効果的。色彩、形状、質感のバリエーションが豊富だから、空間にアクセントを加えたり、建物の外観の美観を高めたりできるよ。
ビル建設の現場では、さまざまな職種が関わり、専門的な知識・技能を発揮しているんだ。豊富な経験に基づく高い技能が、建物の機能性や安全性、快適性や効率性、耐久性に結びついているよ。街並みを構成するビルやマンションなどの建物一つ一つが、こうしたさまざまな専門技能の集積でできているんだね。