東京の匠の技

フラワー装飾

一般社団法人 東京都フラワー装飾技能士会

田邊和則さん

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人はなぜ、咲く花に美を感じ、傍らに飾り、愛でるのか。 人と花の深く分かち難い関わりは、時代も場所も超えて広く世界に共通し、遺伝子のごとく、私たちの奥深くに刻まれている。古代人が棲み家としていた洞窟からも、花を捧げた痕跡が見つかったと聞く。人は花と向き合う時、自然と笑顔になるが、それは花の姿に可憐な笑顔を重ね見るからか、あるいは、健気に咲く無垢な様に魅了されるからなのか。 花を飾るとは、自らの内なる自然と向き合うことであり、花の笑みに癒しを求めることでもある。

花には、顔がある

花のアレンジは、イメージを描くところから始まる。
「花束もアレンジメントもブーケも、まず完成形をイメージします。来店されるほとんどのお客様が“今から持っていきたいので、すぐに作ってもらえる?”とおっしゃいます。限られた時間と条件の中では、スピードと確実性が求められます。何に使うのか、誕生日か、結婚記念日か、飾る目的を伺い、飾る方、贈る方の好みや好きな色などをお聞きし、そこから完成形を手繰り寄せます。イメージを描くには、日頃から花を見る目を養うこと。どの角度から見ると、いちばん映えるのか。量や色、形、組み合わせを考えながら選び、飾る際のシチュエーションに応じてアレンジしていきます。」花には、“顔”があるという。

なるべく自然に咲かす

花は生き物だけに扱いが難しい。
「仕入れた段階から老け始めます。でも、2~3 日で枯れてしまったのでは申し訳ない。そこにいちばん気を遣います。長雨が続けば咲かないし、自然相手ゆえに、環境や天候の影響を受けます。」
花の保ちは、手入れの仕方で変わる。通常、花を扱う店舗には冷蔵庫がある。
「でも、うちはありません。理由は、自然開花させたいから。庫内は約10℃に保たれていますが、その状態に置けば開花せず長持ちします。冷蔵庫がないと、花は仕入れた段階からどんどん開花する。ただ、花にとってどちらがいいかというと、常温です。例えば夏は、庫内の10℃の状態から、一気に30~40℃近い外気に晒されれば負荷がかかります。花にはストレスで、本来咲く花が咲かない、咲いてもシミが出る、といったことが起こる。花のためには自然の状態がいいし、その方がちゃんと咲き、長持ちします。私たちにとって、お客様に買っていただいた時点が完成ではなく、持ち帰って美しく咲いて楽しんでいただいて初めて完成です。いかに長く楽しんでいただくか。そのために、花に負荷をかけず、なるべく自然の状態でお渡ししたいと考えています。」

終わりなき世界

アレンジの世界に終わりはない。 「歩いている時に出会う樹木の表情や陽に染まる建物の色合いなど、この世界に溢れるもの・景色・営みすべてが、アレンジする際の養分になります。アレンジというのは、いつも一回性のもの。今日アレンジした花と、二度と出会うことはありません。毎日が新鮮で勉強の連続。でも、何よりそれが楽しい。」
花との出会いを楽しみ、美しく飾ることで、人を笑顔にする。アレンジとは、幸せの素をつくる仕事でもある。

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#お問い合わせ先

一般社団法人 東京都フラワー装飾技能士会
〒114-0023 東京都北区滝野川7-25-9(株式会社中丸花苑 内)
電話番号:03-3915-5992
公式ホームページ:https://www.flower-soshoku.tokyo/

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