東京の匠の技

建築塗装

東京都塗装協同工業組合

阿川祐樹さん

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色は、無限。調合のわずかな加減が、同じ色に無数の彩りを生む。色と色を掛け合わせていく、妙技。色を操り、縦横無尽に塗り上げる塗り師は、さながら色の魔術師のようでもある。無限に広がる、色彩の美しさと多様性。世界は、色で溢れている。彩りで世界を染め上げていく仕事の魅力は、そこにある。

確かな技術と知識で、仕上げる

塗装の目的は、建物を保護すること、美観を保つこと、そして、断熱、防カビといった塗料の機能を発揮させること。この3つが柱となる。 「一般住宅からタワーマンションなどの建築物まで手掛けます。現場で最初に行うのは、素地・下地の判別とその処置。塗面に処理を施したものを“下地”といい、処理していないものは“素地”といいますが、それぞれ処置の仕方が変わります。一般的には、塗面の素材や状態を見て、最終的な仕上がりイメージから判断します。新築に塗る場合と改修する場合でも、塗料の選定から下地処置まで含め、塗装の方法は変わります。塗るのは誰でもできる。ホームセンターに行けば、何でも塗れる塗料が売っています。でも実際は、何百種類という材料を使い分け、気温と湿度と気候を見て、塗る場所の状況・外的要因も加味しながら、塗り分ける。条件によって、塗り方も材料もすべて変わる。そこに確かな技術と知識がなければ、きちんとした仕上がりになりません。」

数値と経験

塗料の調合は、その日の気温と湿度を身体で感じながら、経験に基づく感覚で決める。 「塗料を混ぜる際、水やシンナーで希釈しますが、寒い日は塗料がダレやすい。流動性のあるものなので、流れてしまいます。塗りやすい気候は春先。気温23度に湿度65%のバランスが最良です。暑すぎてもよくないし、寒すぎても乾燥が遅くなる。作業は常に気温と湿度を意識しながら行います。」 希釈はメーカーの規定量があるので、その数字が基本。 「グラム単位できっちり計る。規定値を超えると、製品としてのデータを壊すことになります。ただ、最終的な加減・微調整は、職人の手と感覚です。目で見て、手で触って、その動きで違いはわかる。そこは熟練。知識に加え、現場でどれだけ考えているか、そこが重要になります。」

父の背中の、さらにその先へ

父も、この世界にいる。だが、何も教えてもらっていない。自力で経験を積み、21年。 「小さい頃から、塗装工として働く父の背中を見ていました。高校を卒業し、この世界に興味があったので、やりたいといいましたが、何も教えてもらえず、仕事は見て覚えろ、と。」 父の下で働きながら、常に探究心を持って、何が正解なのかを突き詰めていった。 「他も見てみたいといったら、塗装の学校で基礎を学んで来いといわれました。2年間学び、塗装の奥深さを知った。土台を学び、基本ができていれば、応用できます。」 自分の仕事に嘘はつきたくない。 「手作業なので、手を抜こうと思えばできる。でもそれをしたら、自分が培ってきたものを壊すことになる。だから、自分に嘘はつかない、仕事に嘘をつかない。そこにこだわります。」 手掛けた仕事は、最低10年、誰かに塗り替えられたり、解体されたりしない限り、残る。 「それが自分の証であり、仕事の確かな痕跡です。何年か経って建物を見ると、その時の記憶が蘇る。その一つ一つが、私自身の積み重ねです。」 自分が試行錯誤してきたことを、若い世代に伝えたい。 「目で見ることは重要ですが、耳からも伝えられるので、自分は発信者になりたいと思っています。」 日本の伝統技術を、次につないでいく。それは、自らが歩んできた証でもある。

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〒150-0032 東京都渋谷区鶯谷町19-22
電話番号:03-3461-8678
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