ものづくりの楽しさや奥深さを体感する機会として、職業訓練の高校生向け実習講座が開催されているんだ。今回は、東京都立多摩職業能力開発センター八王子校自動車整備工学科が「高校生向け実習講座」として実施した講座の様子を、ものづくり部 部長のわざねこがリポートするよ!
高校生向け実習講座とは
次世代を担う若者にものづくりの楽しさ、素晴らしさ、達成感を実感してもらい、将来の進路選択の一つとして『ものづくり』に興味を持ってもらうために実施する、高校生を対象としたプログラムなんだ。今回の実習講座では、自動車部品の分解・組立作業を通して、構造や役割、機能を分かりやすく解説、道具や工具の基本的な使い方、コツなどから丁寧に指導するので、誰でも安心して、ものづくりの楽しさ・素晴らしさが体験できるんだ!
実車で、整備体験!
この日は、二輪自動車(バイク)の整備作業のコースで、オイル交換とクラッチのオーバーホールを体験するプログラム。作業の流れと注意事項に関するオリエンテーションの後、整備する実習車両の400ccバイクを見ながら、エンジンやクラッチの仕組み、エンジンオイルの役割など、バイクの構造について教わるんだ。レーシングスタンドを使って、テコの原理でバイクを直立させ、後輪が浮いた状態にしてスタンバイ。ところが、いざ参加者がバイクを立てようとしても、慣れないとバランスを崩し、傾いて倒れそうになる人も。コツを掴むのが、なかなか難しそうだったよ。 レーシングスタンドを取り付けてバイクを立てたら、シートにまたがって、エンジン始動!セルモーターのキュルキュル音とともに、直列4気筒のガソリンエンジンが目覚めると、参加者の目も俄然、輝き出す!操作説明を受けながら、クラッチをつなぎ、1速→2速→3速とギアチェンジ。タイヤの動きとギアの連動を確認。変速によるエンジン音のリアルな変化に、ワクワク!
ボルト1本が、命に関わる
いよいよクラッチの分解。ここで登場するのが、工具類。トルクレンチや六角レンチの使い方、ボルトの締め方の注意点を教わるんだ。大切なのは、外したボルトをすべて、元の位置に戻すこと。これ、整備士の鉄則―その1。そして、取り外したパーツは、床に置かず、パーツトレイに入れて整理して保管。やっぱり整理整頓は、すべてに通じる基本だね! エンジンが冷えているのを確認したら、エンジンオイルを抜いて、クラッチが収納されているケースのカバーを取り外すんだ。この時に外したボルトは位置を間違えないよう、ボルトが取り付けられていたカバーをかたどった台紙に穴を開け、それぞれの位置にはめて保管。これなら間違えることはないよね!「ボルト一本が、命に関わる」という整備作業の重要性を実感したよ! 次は、クラッチの分解。重要なのは、外した部品の位置・方向・順番がわかるように保管すること。これ、整備士の鉄則―その2。
適度な“あそび”が、大切?
ウエス(布)でクラッチ周りの汚れを清掃し、クラッチの中の部品を新品に交換したら、再びクラッチを取り付け、最後にエンジオイルを再び注入して、作業完了。工具類の片付けも、抜かりなく! 印象的だったのが、“あそび”の話。クラッチやブレーキのレバーには、軽く動く“あそび”が必要で、手の大きさや指の長さに応じて、その量を調整するんだ。でも、“あそび”の範囲を超えた緩みは、“ガタ”といって、破損や故障、事故の原因になるんだよ。この違いを理解することが大切。適度な“あそび”は必要だけど、“あそび”過ぎで緩んだら、よくないんだね!
高校生向け実習講座に参加して
一つ一つの手順が乗る人の命を守り、安全につながる、責任ある仕事。それは整理整頓や丁寧で確実な作業の積み重ねで成り立っているんだね。 こうしたものづくりの根っこに必要なのが、「車やバイクが好き」という気持ち。バイクと向き合っている参加者の表情を見れば、一目瞭然。 「普段、乗るのと整備するのでは、全然違うことを実感しました」と感想を話す参加者の笑顔に、ものづくりを体験できた満足感が表れていたよ。 ものづくりの面白さ、やりがいを実感しながら、自動車整備のエッセンスを味わうことができたはず。今回の実習で得た手応えを胸に、将来の仕事のイメージをつかんで、ものづくりの道に進んでほしいね!
多摩職業総力開発センター八王子校
自動車整備工学科指導員
高宮城 浩さん
指導員からひと言
「講座での体験を通じて将来の仕事として、これならやっていけそうだという実感が得られたことが、この世界を目指すきっかけになりました。」という声が参加者から寄せられています。高校生向け実習講座が、就職に向けて心を決めるひと押しになっていると感じています。車やバイクに興味がある人、機械いじりが好きな人はもちろん、そうでない人でも、実習を楽しむ中で、自動車整備士という職業に興味を持ってもらい、事故防止につながる自動車整備士の仕事の重要性についても学んでほしいと思っています。 電動化や自動運転システムの導入など、自動車の高機能化が進んでいる中、自動車整備士不足が深刻化し、重要な社会課題となっています。社会を支える大切な役割を担う自動車整備という仕事の一端を体験し、ぜひ、将来の仕事として自動車整備士を目指してほしいと願っています。
高校生向け実習講座が気になったら
高校生向け実習講座は、東京都立職業能力開発センター各校(一部の校を除く)で夏休み時期を中心に実施しているよ。体験内容はそれぞれ異なり、詳細は募集時期にTOKYOはたらくネットに掲載されるので、随時確認してね!
学校名 | 東京都立多摩職業能力開発センター八王子校 |
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本社所在地 | 八王子市台町1-11-1 |
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