ものづくりの加工の現場に欠かせない工作機械。「若年者ものづくり競技大会」では、これを使って加工技術を競う職種に「旋盤」「フライス盤」があります。精密な加工を競技の場で披露するためには、日頃の訓練や繰り返しの練習が欠かせません。「挑戦!若年者ものづくり競技大会」シリーズの第2回となる今回は、中央・城北職業能力開発センター 板橋校において「旋盤」「フライス旋盤」の職種で出場した久世さん、在川さんの2人の選手をご紹介します。
ものづくりの代表的な
工作機械「旋盤」「フライス盤」
「旋盤」「フライス盤」は、金属を加工し、部品などを製作する工作機械です。主に円筒形の製品をつくるのが「旋盤」、角型の製品をつくるのが「フライス盤」です。部品と一言にいっても、身近な製品から大型の産業用機械まで、様々な機械に対応できる加工技術を身につけることが必要となります。
中央・城北職業能力開発センター板橋校「機械加工科」(2年訓練)では、こうした工作機械の使用方法や加工技術といった実技を学び、金属加工などを行う製造業への就職を目指しています。
今回の大会では、久世さんが「旋盤」競技、在川さんが「フライス盤」競技に出場しました。
久世さんは「旋盤」競技で敢闘賞を受賞されています。
上位メダルを逃したのは悔しいけど
旋盤で敢闘賞を受賞!
(久世さん)
全国から同じような技術の習得を目指す同世代の人たちが一堂に会して競い合う大会だけに、とても良い経験になりました。初めて課題の図面を見たときは「難しい・・」と思ったけど、普段の実習以上に厳しい視点で練習を繰り返し、多くの技能を身につけることで成長してきている実感もあったので、敢闘賞という名誉な結果につながったんだと思います。強いて言うなら、寸法精度の正確さが評価されたのではないでしょうか。本音ではもっと上の賞を目指していたので悔しさもありますね。
大会前の練習から本番を想定し
1/100ミリ単位の精度を追求。
大会の課題では、材料にネジや溝などの加工を施します。1/100ミリ単位の誤差も審査で減点になるので、大会前の実習から、寸法の精度に細心の注意を払いつつ時間内に完成させる練習を繰り返しました。
審査基準をクリアするため、刃物を調整し表面を美しく加工したり、作業中のごみを掃除することにも気を配る必要がありました。ゴミが機械に挟まるだけで数値がずれてしまうこともあるからです。それでも本番では上手くいかないこともありました。
改めて普段の実習から集中して取り組むことの重要性を痛感しましたね。
旋盤の技能向上をつづけ、
技能検定にも挑戦したいです。
現在、機械加工の業界では、マシニングセンタやNC旋盤など自動化された工作機械に頼ることが多くなってきています。
ですが、技能者としてきちんと加工手順を把握していなければ効率的なプログラミングが出来ないと思うので、今回の挑戦はとても重要だと実感しました。もっと技術を磨いて、将来は技能検定にも挑戦したいです。
チャレンジする後輩へメッセージ
大会出場を想定して、あえて難しい課題をこなしていくことは凄く大事です。上手くいかないときでも集中して練習を続け、気持ちを維持し続けましょう!
周りの人との実力の違いに驚き!
もっと高い技術を身につけたい。
(在川さん)
「自分より実力のある人もいるだろうな」なんて会場に入る前は思っていたけど、実際の出場者は段違いに凄かったです。一つ一つの作業スピードも驚くほど早くて・・・見たくなくても隣の人の動きが見えちゃうんですよね。
観客に見られている緊張感もあって、寸法を間違えたり、練習ではできていた作業が時間内にできなかったり、いくつかミスをしてしまいました。東京都代表として恥ずかしくないように、という思いで挑み、今の自分の力は出し切りましたが、もっともっと技術を身につけて上を目指したいと考えるようになりました。
求められているのは、スピードと完成度。
大会では、支給された2つの材料に図面通りの加工をして凹凸を作り、以下に美しく組み付けられるかを3時間という時間内で競います。求められるのは、寸法や段差などの誤差を最小限に抑えて加工する、スピードと完成度です。
大会の課題は本番の1か月ほど前に発表され、そこから本格的に練習を始めました。時間内に加工精度を高めることに苦戦していたこともあり、本番ではそこも意識して完成させることを目指しました。
先生の手厚い指導が支えになりました。
大会出場に当たり、先生が一つ一つ丁寧に指導してくれたことが支えになり、本当に感謝しています。将来は、フライス盤の技術をもっと追求できるような会社に就職出来たらと思います。大会ではいくつか失敗してしまったけど、社会に出たら失敗は大きな損失になりかねないですよね。
今回集中することの大切さを学んだので、今後に活かせたらうれしいです。
チャレンジする後輩へメッセージ
大会に向けての練習は時間がかかるので、早い時期からまとまった練習時間を確保できるようにしておくことが大切です。
全国から選手が集う大会に出るという自覚をもって、少しでも多く練習しましょう!
大会は実習での学びを応用する機会。
この経験を活かし、さらに成長してほしい。
(指導担当の先生)
大会で求められる加工方法や技術は、普段の実習の中で習得するものばかり。それらをいかに活かし、複合的に組み合わせていけるかが大会では問われます。
その点に注力してサポートしていましたが、二人とも細かい部分でのミスはあったものの本当に良くやってくれました。もう少し若ければ、私も出場してみたかったですね。二人が就職した後も、技能五輪や技能グランプリなど、さらなる高みを目指してくれたら嬉しく思います。
機械加工科ってどんなことを勉強するの?
機械加工科は、各種工作機械を使用して、金属加工によるものづくり技術を習得する訓練科です。訓練では、旋盤、フライス盤、ボール盤、研削盤といった代表的な工作機械をはじめとして、現在主流となっているNC旋盤、マシニングセンタ、ワイヤカットといったNC工作機械での加工技術を学ぶことができます。
旋盤やフライス盤は汎用工作機械といって、ハンドルやレバーを使い、自分の手の感覚で加工することができます。加工状況を目や耳、手で感じながら加工することは非常に重要なことで、NC工作機械などのハイテク機器を扱う上で基盤となる技術となります。
NC工作機械は、マニュアルでのプログラミング技術からCAD/CAMシステムによる自動プログラミング技術、より高速・高能率での加工手法を学び、生産性の向上を意識し、仕事に直結した技術を身に付けることが出来ます。
そのほか、オリジナルの金型や、実際に動かすことのできるミニ電車といった装置などを訓練課題として製作しています。
組織名 | 東京都立中央・城北職業能力開発センター 板橋校 |
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学校所在地 | 〒174-0041 東京都板橋区舟渡2ー2ー1 |
連絡先 | TEL: 03-3966-4131 |
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