ものづくりの伝統的な匠の技と最先端技術が集まる一大イベント「ものづくり匠の技の祭典2025」。今回は、大勢の参加者で賑わった出展ブースの様子をレポートするね。どのブースも、趣向を凝らした体験プログラムや実演が行われ、子どもから大人、海外の旅行客まで、みんなとても楽しんでいたよ。
 
    
専門知識と技能が支える、機械式ミシンの世界〜ミシン
ミシンのブースでは、工業用ミシンを使った手作りのスリッパ、ルームシューズを製作する体験プログラムが大盛況だったよ。展示は、古い機械式ミシンの構造や歴史、縫製機械整備技能士によるミシンの分解から組立、調整、試し縫いといった一連の整備作業の実演など、機械式ミシンに関するとても興味深い内容なんだ。家庭用・工業用の機械式ミシンの修理・整備には、専門的な知識や技術が必要だよ。しかも、30、40年経った機械は、メーカーがすでに部品を製造していないことが多く、技能士が現存する部品を加工して作ることもあるんだって。
 
    
大切に使われてきた機械をメンテナンスして、さらに長く使えるようにするのが技能士の仕事。ミシンの調子が悪いという問い合わせがあると、症状を聞くだけで、だいたいどこが悪いのか、長年の経験からわかるそうだよ。すごいね。ミシンの不具合が起きると、工場の生産は止まってしまう。困った時に、ミシンを直してくれる技能士は、すごく頼りにされているんだ。工場が再稼働し、喜ばれる瞬間が、技能士にとっていちばんのやりがいになっているそうだよ。
 
    
無から空間を創る面白さ〜造園
造園のブースでは、竹キャンドルづくりと、シュロの葉を使ったシュロバッタづくりの2種類の体験プログラムが行われていたよ。キャンドルづくりでは、灯りをイメージしながら、青竹に大小の穴を開けて、中にLEDライトを入れるんだ。穴の大きさや位置の組み合わせで、漏れ出る光の輝きや雰囲気が変わるよ。木漏れ日のような幻想的な灯りがとてもきれい。凝ったデザインを工夫し、時間ぎりぎりまで熱中している参加者もいたよ。
 
    
バッタづくりで使うヤシ科のシュロは、扇状の大きな葉。縄やタワシ、箒などにも使われているんだ。長い葉先を割いて、バッタの胴体や触覚、前脚、後脚などを作っていくよ。20〜30分くらいで完成。本物みたいな仕上がりで、びっくりしたよ。 造園は、何もないところから、さまざまな材料を使って、一つの空間を生み出すところに面白さがあるんだ。いろいろな種類の生きた植物を植えて、その配置を工夫しながら、空間を創造していく、とてもクリエイティブな仕事だと思うよ。
 
    
絹糸が織りなす、彩りの美しさ〜多摩織
多摩織は、東京都八王子市周辺で作られている伝統的な絹織物「八王子織物」をルーツとする5つの織物「お召織(おめしおり)」「風通織(ふうつうおり)」「紬織(つむぎおり)」「綟り織(もじりおり)」「変り綴織(かわりつづれおり)」の総称なんだ。八王子は古くから養蚕(ようさん)が盛んで、「桑の都」ともいわれ、製糸、絹織物業の一大生産地として栄えたよ。一地域で5種類の織物が生産されるのは珍しく、八王子織物は、1,100年前の平安時代、延喜7(907)年の文書にも記されており、歴史的に古いものだそうだよ。明治以降、八王子織物の基盤が築かれ、5つの織物が「多摩織」の名称で日本の伝統工芸品に指定されたんだ。
 
    
ブースでは、織物の残糸を使った色とりどりのシルクのコースター織り体験が人気だったよ。糸の種類が豊富で、多彩な色で織り上げるから、とてもきれい。光沢のある絹糸の彩りも、多摩織の特長なんだ。単衣の着物から袴の生地、ストールなど、和装関連の伝統工芸品をはじめ、アパレル関連の仕事も手がけており、季節に応じてさまざまなものが織られているそうだよ。最近は、美大でテキスタイル(※)を学んだ若い世代で興味を持つ人が増えているんだって。若い感性が入ることで、多摩織に新しい表現が生まれていくといいね。楽しみだな。
※繊維の特性や糸、布などの素材作り、そして染織、織、プリントといった基礎技術など、布を素材としたデザイン全般を学ぶ学科
 先端の鉄製の菱形部分が剣(けん)
先端の鉄製の菱形部分が剣(けん)
    
独楽のグローバルスタンダード!?〜佐世保独楽
こ長崎県の佐世保市生まれで、県の伝統的工芸品にも指定されている「佐世保独楽(させぼごま)」。約300年の歴史を持ち、もともとは漁師たちが木を削って作っていたものなんだ。ラッキョウ型の独楽の先端に鉄製の「剣(けん)」が打ってあるのが特徴。剣先に紐を引っ掛けて巻き付けたら、逆さに持って地面に叩きつけるように投げると、独楽は自然に起き上がって廻るよ。遊び方は、一斉に投げていかに長く廻るかを競うだけでなく、「けんか独楽」で独楽同士を激しくぶつけて戦わせるんだ。相手の独楽にぶつけて回転を止めたり、割ったりする勇ましい勝負だよ。世界的には、佐世保独楽の形がスタンダードで、ポルトガルやスペインの独楽も同じような形。だから、海外の人も違和感なく遊ぶことができるんだ。
 
    
ブースでは、ブナ科のマテバシイの原木を加工した円柱型の木材を削ってカラフルな独楽を作る実演や、体験プログラムが子どもたちに人気だったよ。オリジナルの缶バッジがもらえる独楽廻し体験をはじめ、手廻し独楽の絵付け体験やロクロを使った佐世保独楽の絵付け体験では、個性豊かなオリジナルの独楽づくりに挑戦していたよ。佐世保では、幼稚園や小学校で独楽廻し大会が開催されており、子どもたちが独楽に触れる機会を設けているそうだよ。みんなで遊ぶと楽しそうだね。
3日間で約3万6千人もの来場者で賑わった、「ものづくり匠の祭典2025」。それぞれのブースに大勢の人が訪れ、実演や体験を楽しんでいたよ。日本が誇る優れたものづくりの技を絶やさないためにも、こうした機会を通じて、若い人たちに、もっとものづくりの面白さや奥深さを知ってほしいな。
 #TOKYOものづくり部
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