伝統的な匠の技やものづくりの技能・技術の魅力を発信する「ものづくり・匠の技の祭典2022」が、8月5日(金)〜7日(日)の3日間、東京国際フォーラムで3年ぶりにリアル開催されたよ!世界に誇る日本のものづくりの匠の技を間近に見て、体験できる貴重な機会とあって、連日多くの人が訪れ、大盛況!今回はステージパフォーマンスの様子を、わざねこがリポートするね!
山之内すずさんと調理の匠がスペシャルステージで、コラボ!
初日最初のスペシャルステージでは、日本料理に彩りを添える華刀流の技法を駆使した野菜の剥き物製作に、ものづくり・匠の技の祭典2022サポーターで、タレント・女優として活躍する山之内すずさんが挑戦したよ! 野菜の剥き物とは、大根、人参、南瓜(かぼちゃ)などの野菜を彫ったり刻んだりして細工する、いわば野菜の彫刻。四季折々の野菜を、鶴や亀などの縁起物、花や鳥、木の葉、動物などの形に切り出し、先附や煮物、蒸し物、お造りなどに添えることで、料理に季節感や四季の趣を表現し、盛り付けを引き立てる役割があるんだ。
1月「鶴の子」(里芋) 雑煮 白味噌仕立て
この日、紹介されたのは、単に添えるだけではなく、料理として美味しく食べられる剥き物。ステージのテーブルには、1年の各月の季節を表現した「剥き物12か月」が勢揃い!里芋で形どった「鶴の子」を添えた白味噌仕立てのお雑煮に始まり、節分にふさわしい「鬼の面」を彫った人参を添えた先附、えびす南瓜で亀を作り、鮎が川上りをする躍動的なシーンを再現した6月の焼き物など、それぞれの季節感を繊細な技とイマジネーションで表現した、まさにアート!匠の技の緻密な仕上がりに、山之内すずさんも大興奮!どれも繊細で、しかも美味しそう!
山之内すずさん、和の料理を彩る華刀流の野菜の剥き物に挑戦したよ!
ステージでは、日本料理の匠たちが各々の技を駆使して、黙々と野菜を切り出す中、いよいよ、山之内すずさんが剥き物に初挑戦!作るのは、お雛様の季節を飾る「鈴」。一般社団法人東京都日本調理技能士会の川口正信専務理事の指導のもと、まず人参をカット。初めて使うプロの和包丁に、ちょっと戸惑い気味。家庭用の包丁と違って、和包丁は片刃なので、内側に刃が食い込んで切れるため、真っ直ぐ野菜をカットするのがなかなか難しそう。でも、そこは毎日自炊するという山之内すずさん、少しずつコツを掴んで、人参に的確に刻みを入れながら、最後は可愛らしい「鈴」が完成!匠からも、なかなかの出来栄えと褒められていたよ!
日本が誇る美しい音色の和楽器が、ステージに勢揃い!
三味線、箏(こと)、尺八、篠笛(しのぶえ)、能管(のうかん)、琵琶、鼓(つづみ)など、日本で伝統的に使われてきた、和楽器。「おもしろ和楽器〜日本から世界へ」では、日本を代表する和楽器奏者がステージ上に勢揃い!匠たちによる演奏で、世界に誇る日本の美しい音色を堪能したよ。 まず和楽器でドイツの作曲家ヨハン・パッヘルベルの室内楽「カノン」を披露。それぞれの和楽器の特徴を活かした美しい演奏の合間に、日本の有名な楽曲「翼をください」が織り込まれていたよ。
和楽器の特徴を紹介
演奏後は、それぞれの匠が和楽器を紹介。 竹の節をくり抜いてつくった尺八は、5つ指穴のわずかな開け閉めや首を揺らす動きで、音程を作り出すんだって。フルートのような篠笛は、指穴が7つ。内側の吹き口で調整しながら、ドレミファの音階を出すんだ。印象的だったのは、能管。篠笛の仲間で、頭の部分に鉛が入って少し重たくなっていて、内側が細くなっているから、気流の乱れが生じて、「ひゅうー」というお化けが出そうな音がでたりして、面白いよ。 叩いて音を出す邦楽囃子の一つ、小鼓は、持ち手の紐で音の高低を調節するんだ。紐を握ると、ちょっと甲高い音が鳴り、離すと深みのある響きに変わるよ。他にも、松虫(まつむし)、当り鉦(あたりがね)、オルゴールといった面白い名前の金属製の和楽器もあるんだって。
みんなも知っている三味線は、江戸時代に広まったもので、バイオリンのような弦楽器的な要素と太鼓のような打楽器的要素を兼ね備えているのが特徴。三本の弦をバチや指で弾いたり、すくったりすることで、彩り豊かな音色が出せるんだ。そして、1300年前にシルクロードを通り、中国を経て、日本に伝わった、琵琶。語り音楽として言葉に寄り添いながら情景を表現する楽器で、奏者の抑揚ある語りとともに激しく弦をかき鳴らす薩摩琵琶独特の演奏は、迫力があって、音の世界にぐんぐん引き込まれたよ!
箏は、桐の木で作られた箱状の胴体に、十三本の弦が張られていて、雅な音色が特徴。山田流と生田流の2つの流派の違いは、箏爪(ことづめ)!箏爪は、演奏の時に指にはめる爪形のもので、四角い箏爪が生田流、先の尖ったのが山田流なんだ。大型の箏は、17本の弦を張る「十七弦」といわれ、「春の海」の作曲で有名な宮城道雄氏が考案したもの。糸が太くて、低音パートのベース的存在なんだ。 最後は、そんな匠たちの和楽器の合奏で、長唄「娘道成寺」、そしてボカロ曲として有名な大正ロマン溢れる「千本桜」が艶やかな舞いとともに披露されたよ。素晴らしい演奏は、ぜひ動画を見てね!
建築大工の匠、大工道具を語る!
職人にとって、仕事の要となるのが道具。大工職人に欠かせない道具の中で、誰もが知っている鋸(のこぎり)と鉋(かんな)について、建築大工の匠・片岡茂樹さんが「建築大工棟梁による大工道具の解説と実演」と題して実演を交えながら紹介してくれたよ。
鋸は両刃が主流だけど、古くから使われているのは「片刃」。片方にしか刃がなく、鋸目(歯の形)の違いで、縦挽きと横挽きがあるんだ。建具で組子細工のような精密な木材加工に使う目の細かい「胴付鋸」は、扱いの難しい鋸。刃が薄いため、鋸身が曲がらないように背金と呼ばれる補強板がついているんだ。鋸で最も大型なのが、
「大鋸(おが)」。“大鋸屑(おがくず)”って、大鋸から出る屑のことなんだって!
今は機械が主流だから「大鋸」を使うことはほとんどないらしいけど、「大鋸」で丸太を切って製材する専門の職人のことを「木挽職(こびきしょく)」というんだ。宮大工が引いた墨のとおりに正確に切る木挽職は、今では日本でわずか数人。機械よりも薄く木を挽くことができるので無駄がない。けれど、少しでも曲がれば、その木は使えない。だから、木挽職人は命懸けで木と向き合う人たちなんだって。 日本の大工職人は、目や勘だけでなく、墨を引いて、治具という補助工具を使って正確に切る。治具も自分で作り、刻み台という木材が二本あれば、足で踏む、手や肘で押さえるなど、体のあらゆる部位を使って、地べたで仕事ができちゃう。日本の大工職人の技と工夫って、すごいよね。
鉋屑に、仕上がりが見える
鉋は歴史が古く、その昔、飛鳥時代の法隆寺建立の頃は、今のような台鉋はなく、槍のような形をした鉋を使っていたらしいよ。台鉋も、当初は一枚刃。でも、刃が一枚だと、木材の逆目が立ってしまうので、二枚刃が登場したんだって。鉋は刃の研ぎだけでなく、鉋台との相性も重要。台がダメだと、それこそ台無し。鉋台を調整する実演では、台の削りたい場所ごとに、それぞれ専用の鑿(のみ)など、特殊な道具を紹介してくれたよ。
最後は、実際に鉋を使って木を削る実演。鉋を引くと、薄くて透き通ったきれいな紙状の鉋屑が出てくるんだ!紙状の鉋屑が出てくるということは、きれいに仕上がっているということで、木材の表面に埃がつかず、腐りづらいということ。いつまでもきれいな状態が保てるから、木材が長持ちするんだって。すごい技だね!美しい鉋屑が出せるのは、日々の努力の賜物。だからこそ、大工の仕事には終わりがないし、面白くて、夢があると匠が話していたよ。ぜひ、みんなに建築大工の奥深い世界を見てほしいな。
今回紹介しきれなかった他のステージパフォーマンスの様子も動画でご覧になれます!アーカイブ配信を、ぜひチェックしてみてね! この他にも、祭典当日には匠の作品展示や体験プログラムなどが盛りだくさんだったんだ!その様子は、次の記事で紹介するね。