ものづくりの現場で活躍する人たちにインタビューする中で、資格取得の目標としてよく耳にする「技能検定」。 技能で身を立てる人にとって、「技能検定」とは、どのようなもので、どういったメリットがあるのでしょうか。わざねこがレポートします。
技能検定って、何?
「技能検定」とは、働く人が仕事をする上で必要となる技能の習得レベルを国が評価して認定する国家検定制度のこと。働く人の技能と地位の向上を目的としたもので、合格した人には、合格証書が交付され、「技能士」と名乗ることができるんだ。1959(昭和34)年に制度がスタートしてから、合格者は延べ800万人を超えており、確かな技能を持つ証として、「技能士」は高く評価されているよ。
技能検定の職種は、いくつあるの?
技能検定には、機械加工、板金加工といった金属加工系をはじめ、光学機器製造や電気機器組み立て、電子回路接続などの電気・精密機械系、菓子製造やハム・ソーセージ・ベーコン製造、パン製造などの食品系、紳士服製造、ニット製品製造、染色といったファッション系、そして、建築大工や鉄筋施工、配管、内装仕上げ施工といった建設関係など、130にも及ぶ多種多様な職種があるんだ。
受検資格を取得するために必要な実務経験 年数表
どんな試験が行われるの?
技能検定は、試験の難しさに応じて1〜3級まで分かれているよ。でも、職種によっては、難易度で等級を分けない、単一の等級もあり、さらに管理者や監督者向けとして「特級」というランクが設けられている職種もあるんだ。技能検定試験には、実技と学科があり、両方に合格しなければならないんだ。もし、どちらか一方だけ合格した場合は、次回以降、不合格だった試験だけ受験し、合格すれば、技能士になれる。ただし、「特級」については、5年以内という制限があるので注意が必要だよ。
技能検定には、どんなメリットがあるの?
●検定を通じて、知識や技術・技能の基礎・基本が確認できる
●スキルアップに向けたモチベーションアップにつながる
●実務経験の証明になり、再就職や転職に有利
また、技能士に付与される特典もあるんだ。技能検定に合格すると、都道府県職業能力開発協会が実施する職種では、検定職種、等級に応じて、例えば、労働安全コンサルタント試験や職業訓練指導員試験、作業環境測定士試験などは、資格試験の受験資格や一部試験が免除されるんだ。
技能士を名乗れるのは合格者だけ!
技能検定試験に合格すると、「技能士章」(※)が交付され、そこで初めて「技能士」を名乗ることができるんだ。技能士章は、技能の「技」の字を中心に放たれる5つの光とその間を結ぶ菊花によって構成されたデザインで、光は技能の“輝き” 、菊花は、技能士が持つ“名誉と誇り”を表しているんだ。もし、試験に合格していないのに「技能士」を名乗った場合は、法律で罰せられるんだよ。技能士は、職業能力開発促進法に規定されている名称独占資格だから、ちゃんと試験に合格することが必要なんだね。
※民間の指定試験機関が実施する職種は除く
技術・技能を、次につなげていくために
技能検定は厚生労働省が推奨する資格で、企業にとっては、社員がその資格を取得することで、確かな技術の証明にもなるよ。技能検定を受けるには実務経験が必要で、特に1級技能士の場合、7年以上の実務経験が受験資格になるから、再就職や転職などの際には、豊富な実務経験があることの証にもなるんだ。
少子高齢化が進み、働き手不足が深刻化する中で、ものづくりの担い手を確保し、人材を育成することは、とても重要な課題。今後、熟練した技を持つベテランの人たちがどんどん退職してしまうと、ものづくりの現場にとっては、基盤となる技術や技能が途絶えてしまうことになる。それを、どうやって次につなげていくかが今、大きなテーマになっているんだ。長年、培ってきた知識や技能を継承し、働く人がそれぞれの能力を伸ばしていくための環境づくり・基盤整備が大切で、そのために技能検定制度を有効に活用することが注目されているよ。これから技能を身につけていく若い人たちにも、こうした技能検定制度のことを知ってもらい、どんどん技能士を目指してほしいな。
技能検定には、こんな職種も!?
技能検定の130種の職種の中には、ものづくり系以外の、指定試験機関(民間機関)が行う職種もあるよ。例えば「ファイナンシャル・プランニング(FP)」も技能検定の一種で、FP技能士は、資産に応じた貯蓄や投資のプランづくりをはじめ、税金、住宅ローン、不動産、相続など、暮らしや家計のお金にまつわるライフプランについて、幅広い知識をもとに、経済的な側面から長期的かつ総合的にサポートする専門家なんだ。その他にも、ウェブデザイン、キャリアコンサルティング、接客販売など、いろいろな職種で技能検定が行われているよ。