植物を生かし、美しく調和の取れた環境空間・景観づくりを手掛ける、造園の仕事。庭や公共空間に四季を創造する造園士として活躍する、株式会社大場造園の小野田佑輔さんにお話を伺いました。
インターンシップで、庭師に憧れて
北海道の農業高校で造園を学びました。インターンシップで、ほとんどの生徒は市内の企業を希望していましたが、2名分だけ、東京の大場造園の枠があり、せっかくの機会なので参加しました。当時はまだ、どういう職業に就くか決めていませんでしたが、インターンシップを通じて造園の仕事を体験する中で、庭師や職人の世界に対する憧れが強くなり、入社を決意しました。
最初は思っていた以上にハードで、職人の仕事の厳しさを痛感しましたが、必死で仕事を覚えるうちに、徐々に与えられる役割も増え、楽しさを実感できるようになりました。いろいろな案件に関わりながら、一つ一つ壁を乗り越え、経験を積んだことで現場を任されるようになり、10〜11年を超えた頃からリーダーを任されるようになっています。
スケールの大きさに、感動
造園は、緑を最適の形で維持・管理・育成していく仕事ですが、その領域は広く、個人宅の庭の剪定、刈り込み、草取り、草刈りといったお手入れ全般をはじめ、樹木の移植、伐採、庭の改修工事、解体や作庭、さらに病院や学校、公園、マンションなどの植栽管理や街路樹の剪定、ゼネコンなどの工事現場での樹木の植栽、屋上緑化や壁面緑化など、多種多様です。
今でも印象に残っているのは、入社一年目で関わった結婚式場の案件。大木を植える班、庭石を組む班などが関わる大掛かりな工事でしたが、今まで見たことのない光景に圧倒され、造園という仕事のスケールの大きさに感動しました。
期待以上の仕上がりを目指して
現場は、作業規模に応じて、対応人数が変わります。公共空間などでの作業の場合は複数名、個人宅なら、2名ほどで対応します。庭の手入れであれば、お客様にご挨拶してご要望を伺って作業員全員で共有し、危険予知活動を行ってから作業に取り掛かります。木に登って枝を切る人、落ちた枝葉を片付ける人など、状況に応じて役割を分担し、10時、12時、15時に休憩をとり、17時には後片付けをして帰社します。今は現場のリーダーとして、作業指揮を取りながら、全体をまとめ、後輩の指導や教育も担当します。お客様にご満足いただけるよう、きめ細かいところまで気を配りながら、納得いくまでこだわり、期待以上の仕上がりになるよう心がけています。身体が資本の仕事。常にベストパフォーマンスが発揮できるよう、日々の健康管理、体調管理にも気をつけています。
安全と品質の両立を目指して
危険と隣り合わせの作業なので、日々緊張感を持って臨んでいます。安全かつ効率よく、確実に作業を終えることを常に意識しており、安全と作業品質の両立を図るところに、この仕事の難しさがあると思います。造園の仕事は、毎日違う場所で多種多様な作業に携わります。木を切ったり植えたりするだけでなく、庭石や灯籠を扱い、丸太や竹で垣根を作るなど、想像以上に幅広く、飽きることがありません。日々自然と触れ合い、四季折々の鮮やかな景色を目にしながら、一年中、木々の表情を楽しめるところに魅力を感じます。そして何より、お客様の笑顔、喜びを直に感じられるところにやりがいがあり、自分の植えた樹木が元気に育っている姿を目にすると嬉しいですし、よかったなと思います。
四季の彩りを創造する仕事
造園は、空間に四季の彩りを創造する仕事。そこには美的感覚や感性、繊細さが求められます。樹形を考え、バランスを見ながら枝葉を落としていきますが、四季の移ろいの中で、樹木と庭がどう見えるかを考えなければなりません。現場での経験はもちろん、数多くの庭園を観ることで、そのイメージを自分の中に引き出しとして持っておくことが大切です。この仕事に携わるようになって、街を見る視点が変わりました。街中の緑に目がいくようになり、日々の生活に息づいている自然の変化に敏感になりました。技術や知識、経験も浅く、未熟なところばかりですが、先輩や上司との関わりの中で、人間的にも成長していると思います。もっと経験を積んで、知識と技術に磨きをかけ、立派な職人になれるよう、日々精進し、勉強に励んでいきたいと思います。
技能の世界に、終わりなし。
常に成長する植物の育成を管理し、適切に生かしながら、私たちが鑑賞して楽しめるような空間づくりをするのが造園の仕事です。自らの技能を存分に発揮し、空間を創造するのは、自己表現としてもやりがいのある楽しい仕事。それを維持管理するための手入れも重要で、造って終わりという仕事ではありません。大切なのは、いろいろなものを見て、本物に触れて、自らの中の美しい、きれいと感じる感性・美意識に磨きをかけること。技能の世界に、終わりはありません。常に向上心を持って、努力し続けること。それが、この世界で伸びていく人に共通する資質だと思います。
代表取締役社長 大場 二郎さん
天敵は、虫?
作業中は、ツバキやサザンカの葉を好むチャドクガ(茶毒蛾)の毛虫に要注意です。毛先が毒針になっていて、皮膚や粘膜に触れると炎症を起こし、かゆみや爛れに悩まされます。また、ハチの巣を毎年のように発見します。4〜11月頃、鬱蒼と茂った樹木などに巣づくりをするので、木に登ってみないと確認できないため、巣があることを前提に、駆除用の殺虫剤や防護服など、常にフル装備を携行しています。万が一、刺された場合に備え、応急措置のための毒抜き用の道具を常備し、すぐに対処できるよう、万全の準備で現場に臨みます。
社名 | 株式会社 大場造園 |
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本社所在地 | 東京都杉並区永福2-47-12 |
連絡先 | 03-3321-8688 |
主な業務内容 | 作庭ならびに公園造成、民間・公共における樹木の育成管理 |
ホームページ | 株式会社 大場造園のHPへ |