• HOME
  • 特集記事
  • 整備してきれいになった車両を送り出す瞬間、手応えを実感。
整備してきれいになった車両を送り出す瞬間、手応えを実感。 catch
#56

鉄道車両整備

整備してきれいになった車両を送り出す瞬間、手応えを実感。

西武鉄道株式会社
車両部玉川上水車両所(月検査班)
松本 直之さん

動画を見る

人々の移動手段として、社会活動を支える重要な役割を担う鉄道。その鉄道車両の検査・整備の担い手である鉄道車両技術係として活躍する西武鉄道株式会社の松本直之さんにお話を伺いました。

作業のダイナミックさに魅了

作業のダイナミックさに魅了

子どもの頃からものを作ったり、組み立てたりすることが好きで、高校は工業科に通い、機械工作などを学びました。高校の先生の紹介で鉄道車両の整備を行う株式会社西武車両(現在の西武鉄道・武蔵丘車両検修場)を知り、扱う車両の大きさ、作業のダイナミックさに強く惹かれ、入社を決意。車両機器の分解・細部の点検・組立を行う工場業務に携わっていましたが、業務移管により、西武鉄道に移りました。車両の修繕・重要部・全般検査を担当後、同業他社へ出向となり、工場の作業管理監督、車両の検査業務に携わった後、西武鉄道の南入曽車両所に戻り、月検査班、列車検査班を経て、2023年4月に、現在の玉川上水車両所の月検査班へ異動となりました。

検査ごとに異なる、確認ポイント

検査ごとに異なる、確認ポイント

車両整備は4種類あり、8年を超えない期間内に行う「全般検査」、4年を超えない期間内に行う「重要部検査」、3カ月を超えない期間内に行う「月検査」、少なくとも10日に1回行う「列車検査」があります。武蔵丘車両検修場で実施される「重要部検査」と「全般検査」は、分解・組立という機械的な検査が中心で、玉川上水車両所で行われる「月検査」と「列車検査」は、通電して機器の動作を確認する検査で、それぞれ見るポイントが異なります。月検査班は11名のチームで、屋根上担当、室内担当、床下担当に分かれ、1日かけて点検整備・清掃を行いながら、車両の状態と機能を検査します。場所によって、消耗の程度が異なるため、見るべきポイントをしっかり押さえないと見落とす可能性があり、写真付きのマニュアル等で確認しながら、確実に作業を進めていきます。

見落とし防止は、声かけで

見落とし防止は、声かけで

現在は、月検査班の「台車・モーター担当」のチーフとして、上司と若手の橋渡し的な役割を担っています。進捗を把握しながら、作業がスムーズに流れるよう積極的に声かけを行います。何か一つでも、見落としがあれば、事故につながる危険があるため、気になることがあれば、作業の合間に気軽に声をかけて相談できる雰囲気づくりが重要です。声かけしたひと言が気づきにつながることもあるので、見逃しリスクを少しでも減らすために、積極的なコミュニケーションを心がけています。

小さな気づきを拾う、感覚知

小さな気づきを拾う、感覚知

作業者の経験の差は、小さなことに対する気づきにあらわれます。作業中、音の違いで「おやっ」と感じたことで不具合を見つけたり、見た目は変わらないのに、わずかな違和感を覚えたことで小さな亀裂を発見したり、経験を積み重ねることで感覚知が磨かれ、それによって故障や不具合に気づくこともあります。もちろんマニュアル等に検査時のポイントは整理されていますが、全てを網羅できるわけではありません。小さな変化を見逃さないためにも、しっかり経験を積んで整備士としての感覚を磨くことが大切です。

社会活動を支える仕事

社会活動を支える仕事

車両整備業務は一つ間違えば、電車の運行に影響することもあり、大きなリスクと背中合わせの仕事です。 100%やりきって当たり前。失敗は許されません。そこに難しさがあります。身体を使う仕事なので、暑い夏など、きつい時もありますが、車両がきれいになり、お客様を乗せられる状態になって走り出していく姿を見送る瞬間、手応えを感じます。自分の手がけた車両が、社会活動を支える移動手段として機能している実感をダイレクトに感じられるのは、この仕事の醍醐味です。同時に責任の重さも感じます。純粋に機械好きとしては、整備した巨大な車両がダイナミックに動き出す、その様子を間近に見られるのが、何よりの楽しみです。大きなものを自分たちの手で動かしている実感があります。そこが、この仕事の最大の魅力だと思います。

知られざる電車の動きとは!?

時刻表に掲載されている電車の運行以外にも、実は、一般の人が知らない電車が動いています。点検整備のために車両基地に向かったり、回送列車で始発駅に向かったりなど、見えないところでも電車が動いています。こうした車両のすべての動きを表示した紙状のダイヤがあり、そこには時間軸に沿った電車の動きが網の目のように記載されています。

知られざる電車の動きとは!?
社名 西武鉄道株式会社
本社所在地 埼玉県所沢市くすのき台1-11-1
TEL 04-2926-2045
主な業務内容 西武グループの中核企業として都市交通・沿線事業を担っている。
ホームページ 西武鉄道株式会社のホームページへ

#動画で見る

#バックナンバー

匠の技と最先端のものづくり技術の今を体感!(後編)#108

匠の技と最先端のものづくり技術の今を体感!(後編)

ものづくりの伝統的な匠の技と最先端技術が集まる一大イベント「ものづくり匠の技の祭典2025」。今回は、大勢の参加者で賑わった出展ブースの様子をレポートするね。どのブースも、趣向を凝らした体験プログラム…

詳しくはこちら

匠の技と最先端のものづくり技術の今を体感!(中編)#107

匠の技と最先端のものづくり技術の今を体感!(中編)

日本のものづくりを支えてきた伝統的な匠の技と最先端のものづくり技術が集結した、「ものづくり匠の技の祭典2025」。今回は、さまざまな分野の匠たちが実演を通じて卓越した技を披露したスペシャルステージの様…

詳しくはこちら

匠の技と最先端のものづくり技術の今を体感!(前編)#106

匠の技と最先端のものづくり技術の今を体感!(前編)

2025年7月25日(金)〜27日(日)の3日間、東京都立産業貿易センター浜松町館で、「ものづくり匠の技の祭典2025」が開催されたよ。10回目を迎えた今回、10周年を記念する特別作品として、祭典を象…

詳しくはこちら

中国料理の奥深さに魅せられて#105

中国料理の奥深さに魅せられて

数千年に及ぶ歴史とともに、それぞれの地域の気候や風土、食材、調理法に応じて多様な食文化を育んできた、中国料理。大きく北京料理、上海料理、四川料理、広東料理の4大流派に発展し、日本人にとっても身近な食と…

詳しくはこちら

自らの手と感覚で掴んでいく、高精度の接合技術。#104

自らの手と感覚で掴んでいく、高精度の接合技術。

熱や圧力で金属を接合する技術―溶接。鉄やステンレス、アルミなどを高い強度と剛性で接合できることから、金属加工における重要な技術として、幅広い分野の製品、部品の製造に利用されています。溶接を手がけている…

詳しくはこちら

クライアントの課題解決に向け、 ベストのデザインを導き出す。#103

クライアントの課題解決に向け、 ベストのデザインを導き出す。

パンフレットや広告、出版物などの印刷媒体をはじめ、ロゴマークやシンボルマーク、商品パッケージ、Webサイトなどを対象に、写真や文字、イラスト、色彩などの視覚要素の配置や組み合わせを工夫し、メッセージや…

詳しくはこちら

実践的な職業能力の開発・向上を目指す、多彩な訓練科目。#102

実践的な職業能力の開発・向上を目指す、多彩な訓練科目。

仕事の現場で求められる知識や技術、技能の習得、能力向上を目的とした職業訓練を行う、東京都立城東職業能力開発センター江戸川校。ものづくり系を中心とする多彩な職業訓練科目を設置し、求職者の職業能力開発や就…

詳しくはこちら

レーザーの力で、ものづくりの今を支える。#101

レーザーの力で、ものづくりの今を支える。

レーザー加工は、材料に高密度のレーザー光を照射することで、切断、溶接、穴あけなどの加工を行う技術です。樹脂やガラス、金属など、多様な素材に対応し、高い精度で、複雑なパターンの加工や微細な加工が可能です…

詳しくはこちら
  • はたらくネット
  • ものづくり・匠の技の祭典2025
  • 東京マイスター
  • 技のとびら
  • 東京都職業能力開発協会
  • 中央職業能力開発協会
TOPに戻る
TOPに戻る2