• HOME
  • 特集記事
  • 金型は、日常生活を支える ものづくりの要。
金型は、日常生活を支える ものづくりの要。 catch
#61

金型製作

金型は、日常生活を支える ものづくりの要。

株式会社関東製作所
ブロー事業部 東京工場
武藤 優太さん

動画を見る

金属製の型枠に材料の樹脂やゴム、金属などを流し込むことで、同じ型の製品を大量生産するのに使用される「金型」。私たちの身の回りにある工業製品のほとんどが金型からつくられており、まさにものづくりの要。製造業を支える金型製作について、株式会社関東製作所の武藤優太さんにお話を伺いました。

自分に合った仕事と出会う

自分に合った仕事と出会う

高校卒業後、工作機械メーカーに就職しましたが、エンドユーザーが手掛ける加工の方に興味を持つようになり、いろいろ調べていく中で、今の会社を知り、手がけている製品に魅力を感じました。金型の製作を中心に、自動車部品をはじめ、さまざまな樹脂製品の試作、金型設計から量産成形、製品生産まで一貫して手掛けている会社で、入社して5年目になりますが、毎日楽しくて、この仕事が自分に合っていると感じています。

金型製作のプロセスとは?

金型製作では、お客様がコンピュータ上で設計した製品のCAD(※1)データをもとに、その3Dの製品モデルを反転させた金型を設計します。樹脂製品の場合、まず量産する工場で使う成形機の仕様と成形時の収縮率を勘案した寸法に基づいた加工用のプログラムをCAM(※2)で作成し、ます。構造的に不都合がないか等を社内で精査・検討した上で、アルミや鉄などの材料を選定し、金型として加工します。射出成形の場合は、依頼からプロダクトの量産まで1年くらいかけますが、ブロー成形では、2〜3カ月ほどの短い期間で量産に入ります。
※1/CAD:Computer Aided Design(コンピュータ支援設計):コンピューター上で設計するツール
※2/CAM:Computer Aided Manufacturing(コンピュータ支援製造):CADのデータをもとに加工に必要なプログラムを作成するツール

金型製作のプロセスとは?

2つの成形方法を経験

2つの成形方法を経験

入社後、岐阜の工場で射出成形とブロー成形を経験し、1年半ほど前から、東京工場でブロー成形を担当しています。射出成形は、金型の中に加熱して溶かしたプラスチック材料を射出することで、複雑な形状の製品を精密かつ大量に生産する成形方法です。自動車のフロントグリル(ボンネット下部に設置された網状や格子状のパーツ)やメータパネル(運転席前面の各種計器類を収めたパネル)などの内外装に使用する樹脂製パーツを製造しており、すごくシビアな数値での成形が求められます。一方、ブロー成形は、「blow=吹く(英)」の意から、ガラス細工の製法と同様、加熱した樹脂材料に空気を吹き込みながら膨らませることで、ペットボトルやマヨネーズの容器のような樹脂成形品を製造する方法です。今の部署では、ブロー成形の最終的な工程となるアッセンブリー(組立て)と磨きを担当し、工程スケジュールや購買の計画など、マネージメントの仕事として全体管理にも関わっています。

磨きを工夫する

磨きを工夫する

作業では、磨きの工程が好きです。磨きをかける際は、サンドペーパーの番手(表面の目の粗さ)を変え、縦方向に磨くことで、成形された製品が金型から抜ける際の離型(りけい)がしやすくなります。こうした細かいところへのこだわりや工夫が、不具合のないきれいな製品を仕上げることにつながり、擦れのないきれいな状態で製品が出てくると、手応えを感じます。

経験を活かす

経験を活かす

この仕事で大切なのは、製品を量産しても壊れない金型をつくること、そして、最終工程における磨きの仕上がりを徹底することです。特に自動車のパーツの場合、ユーザーの手に触れる部分に関わるため、金型の出来次第で不良を出すようなことがあれば、大きな迷惑をかけてしまいます。そのため、細部まで丁寧にチェックし、仕上がりには細心の注意を払います。これまで射出成形とブロー成形の両方に携わってきたことで、それぞれの成形方法に関する知識、経験を積み重ねてきました。現場でトラブルや不具合が生じても、これまでの経験則に照らして対応できます。いろいろ失敗して怒られてきましたが、その経験を活かすことで、自分の中の引き出しが増えたと思います。

金型を通じて見える世界

金型を通じて見える世界

世の中にある樹脂製品のほぼ全てが金型から生まれたものです。金型の構造や精度によって、製品の仕上がりは大きく変わります。仕事柄、金型の精度がわかるので、身の回りの樹脂製品を見る目が厳しくなり、自分なら、どういう金型構造にするか、つい考えてしまいます。私たちの暮らしになくてはならない、金型。金型を知ることで、ものづくりが理解でき、見える世界は大きく変わると思います。

暮らしとつながっている仕事

自分たちの手がける製品は、日常生活の中で目にするものばかりです。仕事で携わった車と同じ車種が走っているのを街で見かけると、それだけでテンションが上がります。そういう身近なものづくりに関わっていることが、この仕事のいちばんの魅力だと思います。

暮らしとつながっている仕事
社名 株式会社関東製作所
本社所在地 東京都江東区森下5丁目18番13号
TEL 03-3631-6034
主な業務内容 プラスチック製品の金型製作や成形、自動機製作
ホームページ 株式会社関東製作所のホームページへ

#動画で見る

#バックナンバー

日々、技と向き合う楽しさに、 心から喜びを感じて#109

日々、技と向き合う楽しさに、 心から喜びを感じて

奈良・平安時代に仏教と共に伝わったとされる、表具。糊と刷毛を使って、和紙や裂地(きれじ)を張り、加湿と乾燥の加減をみながら、掛軸や屏風、襖(ふすま)、障子(しょうじ)などを仕立てる繊細な仕事です。表具…

詳しくはこちら

匠の技と最先端のものづくり技術の今を体感!(後編)#108

匠の技と最先端のものづくり技術の今を体感!(後編)

ものづくりの伝統的な匠の技と最先端技術が集まる一大イベント「ものづくり匠の技の祭典2025」。今回は、大勢の参加者で賑わった出展ブースの様子をレポートするね。どのブースも、趣向を凝らした体験プログラム…

詳しくはこちら

匠の技と最先端のものづくり技術の今を体感!(中編)#107

匠の技と最先端のものづくり技術の今を体感!(中編)

日本のものづくりを支えてきた伝統的な匠の技と最先端のものづくり技術が集結した、「ものづくり匠の技の祭典2025」。今回は、さまざまな分野の匠たちが実演を通じて卓越した技を披露したスペシャルステージの様…

詳しくはこちら

匠の技と最先端のものづくり技術の今を体感!(前編)#106

匠の技と最先端のものづくり技術の今を体感!(前編)

2025年7月25日(金)〜27日(日)の3日間、東京都立産業貿易センター浜松町館で、「ものづくり匠の技の祭典2025」が開催されたよ。10回目を迎えた今回、10周年を記念する特別作品として、祭典を象…

詳しくはこちら

中国料理の奥深さに魅せられて#105

中国料理の奥深さに魅せられて

数千年に及ぶ歴史とともに、それぞれの地域の気候や風土、食材、調理法に応じて多様な食文化を育んできた、中国料理。大きく北京料理、上海料理、四川料理、広東料理の4大流派に発展し、日本人にとっても身近な食と…

詳しくはこちら

自らの手と感覚で掴んでいく、高精度の接合技術。#104

自らの手と感覚で掴んでいく、高精度の接合技術。

熱や圧力で金属を接合する技術―溶接。鉄やステンレス、アルミなどを高い強度と剛性で接合できることから、金属加工における重要な技術として、幅広い分野の製品、部品の製造に利用されています。溶接を手がけている…

詳しくはこちら

クライアントの課題解決に向け、 ベストのデザインを導き出す。#103

クライアントの課題解決に向け、 ベストのデザインを導き出す。

パンフレットや広告、出版物などの印刷媒体をはじめ、ロゴマークやシンボルマーク、商品パッケージ、Webサイトなどを対象に、写真や文字、イラスト、色彩などの視覚要素の配置や組み合わせを工夫し、メッセージや…

詳しくはこちら

実践的な職業能力の開発・向上を目指す、多彩な訓練科目。#102

実践的な職業能力の開発・向上を目指す、多彩な訓練科目。

仕事の現場で求められる知識や技術、技能の習得、能力向上を目的とした職業訓練を行う、東京都立城東職業能力開発センター江戸川校。ものづくり系を中心とする多彩な職業訓練科目を設置し、求職者の職業能力開発や就…

詳しくはこちら
  • はたらくネット
  • ものづくり・匠の技の祭典2025
  • 東京マイスター
  • 技のとびら
  • 東京都職業能力開発協会
  • 中央職業能力開発協会
TOPに戻る
TOPに戻る2