街に建ち並ぶ、さまざまなビルやマンション。こうした鉄筋コンクリート製の建造物を建てる際に欠かせないのが型枠です。 建築現場でこの型枠を精巧につくり、組み立てる、型枠大工の仕事について、株式会社村井工務店の仲村吉希さんにお話を伺いました。
型枠大工とは
ビルやマンションなどの建築物を建てる際に、コンクリートを流し込み、所定の形状・寸法に成形するための鋳型の役割を果たす仮設材を型枠といいます。この型枠を作って組み立てるのが、型枠大工の仕事です。建造物の躯体を強固にする重要な役割を担う、現代建築に欠かせない技術職です。
父の話に憧れて
父が昔、型枠大工をしていたことがあり、子供の頃から仕事の話をよく聞いていました。その影響もあって、ものづくりに興味を持つようになり、自然とこの道に進みました。型枠大工は、一般住宅を建てる大工と異なり、コンクリート製の建造物を建てる際に、構造材料であるコンクリートを流し込むための型をベニヤや木材を使って作り、組み立てるのが仕事です。型枠は、ビルなどを建てる際になくてはならないもので、コンクリートの仕上がり精度や表面の美観にも大きく影響します。
型枠大工が担うもの
建物の設計図面をもとに、柱や梁の太さに応じて型枠の大きさや形を決め、自社の置き場で加工し、施工現場にトラックで運びます。型枠大工は、現場で型枠の組み立てを担当し、それ以降のコンクリートの流し込みや型枠の取り外しの工程は、それぞれ別の業者が担います。建物の1階部分から型枠を組み立て、コンクリートを流し込んで成形したら型枠を解体し、1階が完成したら、同じ手順で2階部分を造っていきます。現場では、職長の指示に従い、安全第一で作業を進めます。
建物の強度を左右する、型枠の精度
型枠には精度が求められます。もし型枠が曲がっていれば、柱や梁に歪みが生じ、建物の強度、品質にも影響します。型枠の垂直精度は±3mmとされており、この精度を保つことが建物の土台として重要な要素となります。枠と枠の合わせ目に段がついていたり、膨らみやざらつきがあったりすると、コンクリートの表面に出やすいので、型枠の良し悪しは、表面の仕上がりを見ればわかります。型枠大工として一人前になるには5年かかるといわれますが、高度な技術と経験を持った職人・技術者として、精度の高い型枠を作ることができるようになるには10年はかかります。
コミュニケーションで成り立つ仕事
昨年から班長として現場を任されるようになりました。これまでは指示されたことをこなせば良かったのですが、立場が変わり、現場全体を俯瞰し、適切な指示を出さなければならず、今までと異なる能力が求められます。現場ではさまざまな業種の人が作業をしているので、それぞれの作業内容や段取りをしっかり把握する必要があります。他業種の人と打ち合わせをし、班長として作業の指示や人の配置、段取りの調整を行うのが役目。一人ではできない仕事なので、現場をスムーズに回していくためには、周りの人と連携し、しっかりコミュニケーションを取ることが重要になります。
未来に残るもの
今、7年目となり、これまでマンションや高層ビル、商業施設、病院、消防署などを手掛けてきました。完成した建物を目の当たりにすると、グッと胸にくるものがあります。未来に向けて残っていく建物を造ることができた時の手応え、達成感は、この仕事ならでは。そこがいちばんの魅力だと思います。今後は、職長教育の資格にも挑戦し、現場で自分の意見を的確に伝えられるようになりたいと思います。自分よりも年上の人が多い中で、気遣いが必要な場面もありますが、そういう時でも場の雰囲気を良くできるような人間性にも磨きをかけていきたいと思います。
型枠大工の1日
その日の作業内容と注意事項を朝礼で共有し、8時15分くらいから作業を開始します。作業内容によってチームで動く時と個人で動く場合があります。一人では大変な作業は、チームで手分けをし、パイプを渡してネジを締めるような軽い仕事は、一人で担当します。10時・12時・15時に休憩があり、17時に仕事を終了、片付けをして撤収します。型枠大工は力仕事。体力と手先の器用さも求められます。
社名 | 株式会社 村井工務店 |
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本社所在地 | 東京都稲城市東長沼1075番地2号 |
TEL | 042-377-6581 |
主な業務内容 | 昭和49年に創業した型枠工事の専門業者。 長きにわたりマンションやランドマークとなる施設等を手掛ける。 |
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