• HOME
  • 特集記事
  • こだわりと技術が詰まった、クリエイティブな仕事。
こだわりと技術が詰まった、クリエイティブな仕事。 catch
#72

プレス工

こだわりと技術が詰まった、クリエイティブな仕事。

株式会社ヨシズミプレス
事業所工場長 清水 将哉さん

プレス機械に製品の原型となる金型を設置し、金属の板材に圧力を加えて成形するプレス加工は、自動車や精密機械など、幅広い分野の製品や部品の加工に利用されています。金型設計からプレス加工までの一貫生産体制で、文房具や電気関連の部品、自動車部品などの製造を手がける株式会社ヨシズミプレスの清水将哉さんにお話を伺いました。

未経験者として入社

未経験者として入社

当社は、金型を使った金属プレス加工による部品製造を手がけています。万年筆やボールペンなどの文房具関連部品をはじめ、スマートフォンのコネクタ等の電気関連や医療機器関連の部品、自動車精密部品などを製造しており、金型設計からプレス加工まで一貫して手がけている点が強みとなっています。金属材料を加工する金型は刃物と同じで、定期的に研磨する必要があります。私が所属するプレス部は、プレス機械による加工だけでなく、金型の簡単なメンテナンスまで手がける多能工として活動しています。入社して18年になりますが、もともとものづくりに興味はありませんでした。20歳を過ぎた頃、個人的な事情で早急に仕事に就かなければならなくなり、職を探している時に、未経験者歓迎で通勤条件などが合致したことから入社しました。

ゼロからのスタートコイル状に巻かれた金属板をプレス機械にセッティングしている様子

ゼロからのスタート

初めはスパナの使い方もわからず、先輩方の指導を受けながら、ゼロから仕事を覚えました。最初の数カ月間は製造現場を見て、部品の良し悪しを覚えるところからスタートし、外観の目視と測定器具による指定サイズの仕上がり検査業務に携わり、1年程で、金型をバラして組み上げるメンテナンス作業を担当しました。加工する際は製造する部品ごとに金型を替えるため、部品に対応した金型を一つ一つ覚える必要があります。これまで扱ったことのない金型はたくさんあり、毎回、新しい金型について勉強しながら、対応しています。

品質の維持の難しさプレス機にセッティングした金型で金属板を切り抜いた様子(左の写真)
切り抜かれた製品が重なっている様子(右の写真)

品質の維持の難しさ

プレス加工は、金型にさまざまな加工パーツを装着することで、一台のプレス機械の中で材料を送りながら、穴開けや曲げなどの加工を加えて部品を製造します。出来上がった部品を見るとどれも一様で、入社当初は、機械のスイッチを入れたら、あとは同じ部品がずっと製造されてくるものと思っていました。しかし、一つ一つの部品をよく見ると、同じ金型で製造したものでも、仕上がりには微細なばらつきがあります。それをお客様が求める規格に合致した一定のクオリティで製造し続けるには、機械の調子や金型の状態をトータルで管理しなければなりません。以前、部品が思うように仕上がらず、試行錯誤を繰り返しながら原因を探りましたが、結局、加工時の油の粘度で仕上がりが変化するとわかりました。品質を一定に保つことは最も難しく、改めて些細なことが影響する奥の深い仕事だと感じました。

若手に、自らの過去を想う

若手に、自らの過去を想う

今は工場長という立場になり、プレス工として仕事をしながら、若手の指導も担当しています。自分がこの会社に入ったのも20代。根気よく指導してくれた先輩方のおかげで、どうにか形になりましたが、教える立場になった今、当時の先輩方の苦労を実感しています。当社は自ら考えて行動することを尊重しているので、個々の裁量で現場の状況に応じた対応や工夫が求められます。自分で工夫し、できることが少しずつ増えていくと、それが仕事の面白さにつながっていくと思います。

加工で形状が変化する面白さ

加工で形状が変化する面白さ

機械を扱う仕事なので、まずは安全第一。自分の身を守ることができて初めて、お客様が求めるいいモノを作ることにつながります。私たちが手がける部品は、製品や機械などの内部に入るもので、普段目にすることはなかなかありません。でも、製品や機械が機能するためには不可欠なもの。コイル状に巻かれた板をプレス機械で切ったり、曲げたりしながら加工し、板状のものが立体的な部品になっていく、その形状変化を生み出すところに、プレス加工の面白さがあり、魅力を感じます。見えないところにこだわり、細部に難しい技術がたくさん詰まったプレス加工の仕事は、とてもクリエイティブだと思います。

ここは、カフェ?

社員が職場で着用するエプロンやトレーナー、Tシャツは、オリジナルのデザインです。各自の好みに応じてカラーとサイズが選べ、まるでオシャレなカフェのスタッフのような装い。町工場というと、「きつい・汚い・危険=3K労働」というイメージがありますが、ヨシズミプレスはそのイメージを払拭し、オシャレでカジュアルな仕事着を取り入れることで、社内を明るくし、若手を含め、みんなが生き生きと働ける環境を整えています。

ここは、カフェ?
社名 株式会社ヨシズミプレス
本社所在地 東京都墨田区立花4-28-2
TEL 03-3612-7541
主な業務内容 金型製作から順送プレス加工まで一貫生産を行う。
ホームページ 株式会社ヨシズミプレスのホームページへ

#バックナンバー

匠の技に触れ、ものづくりの世界を体感する、伝統と革新の祭典!(後編)#80

匠の技に触れ、ものづくりの世界を体感する、伝統と革新の祭典!(後編)

日本のものづくりを支えてきた伝統的な匠の技と最先端のものづくり技術が集まる一大イベント「ものづくり・匠の技の祭典2024」。今回は大勢の来場者で賑わった出展ブースの様子をお伝えするね。体験プログラムや…

詳しくはこちら

匠の技に触れ、ものづくりの世界を体感する、伝統と革新の祭典!(中編)#79

匠の技に触れ、ものづくりの世界を体感する、伝統と革新の祭典!(中編)

日本のものづくりを支えてきた伝統的な匠の技と最先端のものづくり技術が集まる一大イベント「ものづくり・匠の技の祭典2024」。今回は、匠たちが卓越した技を披露したスペシャルステージの様子をお伝えするね。…

詳しくはこちら

匠の技に触れ、ものづくりの世界を体感する、伝統と革新の祭典!(前編)#78

匠の技に触れ、ものづくりの世界を体感する、伝統と革新の祭典!(前編)

日本のものづくりを支えてきた伝統的な匠の技と最先端のものづくり技術が集まる一大イベント「ものづくり・匠の技の祭典2024」が東京国際フォーラムで開催されたよ。8月2〜4日までの3日間で、なんと3万6千…

詳しくはこちら

手仕事が生む、 一生ものの履き心地。#77

手仕事が生む、 一生ものの履き心地。

さまざまな工程を経てつくられる、革靴。デザイン・設計、木型づくり、パーツの型紙づくり、皮革の裁断、縫製、吊り込み、底付け、仕上げといったそれぞれの工程では、高い技能が求められます。紳士靴製造を手がける…

詳しくはこちら

重機を自在に操り、安全第一で強固な地盤づくりに貢献。#76

重機を自在に操り、安全第一で強固な地盤づくりに貢献。

建設工事の現場でフォークリフトやクレーン車、ブルドーザーといった大型の機械を操作する、重機オペレーター。建物や道路などの構造物をつくるのに適した地盤を造成するための地盤改良を手がける、株式会社不動テト…

詳しくはこちら

生地の美しさと日々向き合い、伝統を次につなぐ。#75

生地の美しさと日々向き合い、伝統を次につなぐ。

南蛮船の渡来と共に日本にもたらされた「更紗」が、江戸で伝統的な型染めと出会い、独特の渋みのある色合いへと進化した「江戸更紗」。この地で100年続く型染め屋として、江戸染色の多彩な技法を受け継ぎ、その魅…

詳しくはこちら

目に見えないところで、世の中を支える仕事。#74

目に見えないところで、世の中を支える仕事。

プラスチック材料を加熱して溶かし、金型に流し込んで部品を成形する、プラスチック成形。産業機器や工作機械、医療機器など、社会を支える重要な分野で利用されているさまざまなプラスチック部品を手がける有限会社…

詳しくはこちら

自分が納得できるか。そこを基準に、技能を突き詰めていく。#73

自分が納得できるか。そこを基準に、技能を突き詰めていく。

厚生労働省では、年に一度、卓越した技能を持ち、その道の第一人者とされる技能者の方々を「卓越した技能者(現代の名工)」として表彰しています。伝統木造住宅、社寺建築等に携わり、技能グランプリで金賞を受賞す…

詳しくはこちら
  • はたらくネット
  • ものづくり・匠と技の祭典2023
  • 東京マイスター
  • 技のとびら
  • 東京都職業能力開発協会
  • 中央職業能力開発協会
TOPに戻る
TOPに戻る2