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「なぜ」を考えるプロセスを積むことが、対応力につながる。 catch
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若年者ものづくり競技大会

「なぜ」を考えるプロセスを積むことが、対応力につながる。

日本電子専門学校 ネットワークセキュリティ科 
村井 潤さん

2024年7月31日(水)、8月1日(木)の2日間、Gメッセ群馬(群馬県)等で、国内の青年技能者を対象とした技能競技大会「第19回若年者ものづくり競技大会」が開催されました。「ITネットワークシステム管理」職種で金賞に輝き、厚生労働大臣賞も併せて受賞した、日本電子専門学校ネットワークセキュリティ科の村井潤さんを訪ね、指導に携わった姜怜和先生にご同席いただきながら、大会当日の様子や受賞しての思い、今後の目標などについて伺いました。

若年者ものづくり競技大会とは

職業能力開発施設や工業高校等で技能を習得中の若年者(原則20歳以下)を対象に、全15職種における技能レベル日本一を競う技能競技大会。

若年者ものづくり競技大会とは

父のパソコンから、デジタルの世界へ

父のパソコンから、デジタルの世界へ

幼い頃、父のパソコンに興味を持ち、紙にキーボードの配列を描いてもらってローマ字入力を覚えました。小6の誕生日プレゼントとして自分で部品を組み立てる自作用パソコンを買ってもらい、そこからデジタルの世界にのめり込みました。サーバやネットワークについて学びたいと思うようになり、日本電子専門学校に入学して体系的な知識・技能を修得したことが、今回の受賞につながったと思います。将来も仕事として続けていきたいという思いを持っているので、今は純粋に嬉しいという気持ちがいっぱいで、喜びを噛み締めているところです。

集中力が試された、4時間

集中力が試された、4時間

大会当日は、会場内で他の職種の競技も開催されており、周囲からさまざまな音が耳に入ってくるため、最初は緊張してなかなか集中できませんでした。競技は4時間。課題はサーバとネットワークの構築ですが、それに加えて、サービスを立ち上げ、ルータやサーバ、クライアントPCに関する細かい設定を問う項目が多かったので、最後の確認まで含めて持ち時間をすべて使い切りました。課題に対するアプローチの仕方はいろいろで、自分はサーバーが得意なので、先にサーバを設定し、後からネットワークを組む方法もありますが、トラブルが起きた時のことを考え、一つ一つの設定を連携させていくネットワークの構築から始めました。途中、メールサーバの設定で、経験したことのない項目があって焦りましたが、設定ファイルに英語で記載されている設定例を読み取りながら、その場で理解して対応しました。終了後、いくつかミスは思い当たりましたが、結構、自信はありました。

ITネットワークシステム管理の競技内容

選手は、サーバやネットワークの構築・運用管理を行うIT企業に勤務しており、ある企業のネットワークシステムの更改業務を受注・担当するという設定。競技課題は、すでに完成しているネットワークの設計やサーバの構築内容に基づき、東京、群馬、大阪の3つの事業所のルータ、サーバPCおよびクライアントPCの設定を行い、顧客事業所のシステムを構築するという内容で出題されました。

エンジニアとして、日本のネットワークを支えたい

エンジニアとして、日本のネットワークを支えたい

基本の競技課題は例年同じですが、そこに細かい設定が加わるので、過去問で傾向をつかんでおくのは、対策として重要です。学校では実機が使えるので、画面上の仮想のネットワークやルータを使うのと違い、実際に機器を動かして物理的に理解できた点はアドバンテージになったと思います。大会に向けて大切なのは、トラブルシューティングの経験を積むこと。対処法の引き出しがたくさんあれば、どんなケースにも対応できます。設定方法だけを覚えても、きちんと稼働する確率は100%ではないので、「なぜ動かないのか」を考え、理解するプロセスを積み上げることが、実践の場での対応力となります。対処できない要素を徹底的に潰しておくこと、それが大切だと思います。将来の希望は、インフラエンジニアとして、日本のネットワーク基盤を支えていくこと。とても大きな目標ですが、好きで楽しいから続けてきたことなので、この先もいろいろなことにトライして楽しみながら、技能に磨きをかけていきたいと思います。

挫折から学び、獲得した栄冠日本電子専門学校 ネットワークセキュリティ科科長
姜 怜和さん

挫折から学び、獲得した栄冠

村井さんは、どの科目も楽しんで取り組んでいて、一つ課題をクリアすると、さらに深く追求し、最後まで粘り強くやり通す資質を持っているので、大会への出場を薦めました。若年者ものづくり競技大会の前に、Ciscoシステムズ合同会社が開催する「APJC NetAcad Riders 2024」の第1ラウンド(国内大会)で、本科の学生が1位、2位、3位を独占しました。その中の一人が村井さんで、第2ラウンド(世界大会)に出場しましたが、僅差で4位でした。そのことがすごく悔しかったようで、「若年者ものづくり競技大会では、自分が納得できる競技をして結果を出してみせます」と言っていたので、その時の悔しさがバネになったと思います。挫折や失敗から学ぶことが大切で、自分に足りないところを研究した上で、勉強を重ねたことが金メダルにつながったのだと思います。競技終了後、「全て出し切りました」と言っていたので、本人が達成感を持って納得できた大会だったと思います。

より大きな目標に挑戦してほしい

より大きな目標に挑戦してほしい

社会のインフラを支えるエンジニアは、人々の暮らしが快適にまわっていくよう守っていく重要な仕事で、やりがいは大きいと思います。確かな技能と豊富な知識を持っていれば、国内はもとより、世界で活躍できるエンジニアになるチャンスもあります。村井さんにもぜひ、自分の力を存分に発揮できる場で、より大きな目標に向けて挑戦してほしいと思います。

日本電子専門学校とは

「職業教育」と「キャリア教育」を教育方針の柱とし、CG映像制作、ゲーム制作、アニメーション、グラフィックデザイン、Webデザイン、ネットワーク・セキュリティ、AIシステム、電子工学など、9分野24学科を設置する工業系の総合専門学校。

日本電子専門学校とは
学校名 日本電子専門学校
本社所在地 東京都新宿区百人町1-25-4
連絡先 03-3363-7761
ホームページ 日本電子専門学校のHPへ

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