東京都では年に一度、都内に勤務する技能者の中でも極めて優れた技能を持つ方々を「東京都優秀技能者(東京マイスター)」として認め、東京都知事賞を贈呈しています。今回は、令和3年度東京マイスターに認定された旋盤工の小池孝広様が勤務する小池製作所へ。技術の修得に至る道のりや、ものづくりの世界を目指す若者たちへの思いなどについてお話しを伺いました。
社長や会社の存在があったからこそ
受賞できたと受け止めています。
17歳から仕事を始めたので、すでに20年以上のキャリアを重ねています。その結実としての「東京マイスター」の受賞には、心からの喜びを感じています。
ただ一方で、私個人の功績というより、社長である父や会社の実績・歴史があってこその受賞だとも思っています。父の技術はさらに高度ですし、父に「興味があったらやってみないか?」と誘われなければ今の私はありませんでした。
今回評価されたのは、弊社の得意分野である精密部品加工、とくに「昔ながらの汎用機を使った手作業の技術+先端機器による機械の技術」を実現させた高精度かつ柔軟な技術力です。弊社の強みが認められたと思うと、大変光栄です。
1ミリ以下の精密部品も多いため
刃物を自作して対応することも。
現在は、父と二人で会社を運営しています。主に私が旋盤、父がフライス盤の担当です。弊社は、精密部品の中でも光学機器をメインに製作しています。例えば、胃カメラやレンズ類などに使われる鏡筒を、ステンレスやアルミ、真鍮といった素材を加工して作っています。時には、「こんな部品を作れますか?」と1ミリ以下の精密さを求められる試作品の依頼を受けることも。サイズによっては、旋盤の刃物が市販のものでは大きすぎるため、より精密な作業ができるよう刃物を自作することもあります。
試作品を形にできなければ、お客様の製品化や量産化にも影響するのでプレッシャーもあります。実現性が判断しにくい場合でも、完成への道筋や手順を模索しながら、まず形にすることが使命だと思っています。お客様の思いに寄り添い、知識や経験を最大限に発揮して挑戦し続けることを常に心がけています。
「なぜ?」「どうやって?」を常に考え
興味を持つことが、ものづくりの原点です。
「東京マイスター」の受賞以来、改めてその名誉と重みを感じています。求められるハードルが上がった気がします(笑)
この賞にふさわしい技能者になれるよう、日々精進あるのみです。
特に、試作品づくりは失敗の連続。「なぜできないんだ?」「どうすれば改善できる?」と自問しつづける探究心が求められます。それが面白さであり、成長への道でもありますね。
将来ものづくりに携わりたい方は、つくりたいものやその実現方法を常にイメージするクセをつけてください。普段目にするものに対しても「どうやってつくるんだろう?」と興味を持つことが、ものづくりの原点です。切削技術を身につけるなら、汎用機から覚えていくのがおすすめ。手作業の感覚や力加減を養えますし、ものづくりの実感も得やすいですからね。
有限会社小池製作所とは
主に医療・光学機器などの分野をベースに、精密部品の機械加工を行う製作所。
親子2代で受け継がれた技術力で、汎用機による「人の手」と最先端機器による「機械の手」を駆使し、高精度・高難易度のオーダーに対して小ロットから柔軟に対応。
業界の発展を支える町工場として多方面から評価を獲得している。
社名 | 有限会社小池製作所 |
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会社所在地 | 〒192-0154 東京都八王子市下恩方町 1104-1 |
連絡先 | TEL: 042-651-8129 / FAX: 042-651-9408 MAIL:koike.s.s@mx9.ttcn.ne.jp |
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