育ち盛りの子供たちの健やかな成長を支えるため、学校給食はとても大切な役割を担っています。安心・安全・快適な学校給食環境の実現を目指し、調理機器や備品の提供、厨房設備の設計・施工を担う新日本厨機株式会社で厨房設備施工技能士として活躍されている森田貴之さんにお話を伺いました。
家電から食を支える世界へ
家電好きだったことから、新卒で大手家電量販店に入社し、5年程、冷蔵庫や洗濯機、コンロ、食器洗浄機などの白物家電の販売を担当していました。大学で食品加工を学んだので、食品メーカーなどで働く友人が多く、食に関連した仕事に関心を持つようになり、今の会社に転職しました。当社では、主に学校の給食室向けの調理機器として冷蔵庫やガス回転釜、炊飯器をはじめ、業務用の厨房設備全般を扱っており、自治体を通じて、各学校の給食提供数や設置環境に応じた最適のプランを提案し、年間300件ほどの改修工事や機器の入れ替えに対応しています。
安心・安全・快適な給食のために
給食関連の厨房設備の導入は行政が窓口となり、履行期限内に確実に納品を完了しなければなりません。事前に現場に足を運び、建物の状況や設置環境を自分の目でしっかり見極め、不安要素を完全に払拭した上で対応するよう心がけています。配管の位置、扉の開き等によって設置困難な場所があり、見落としやミスがないよう自らマニュアル化して、電気、ガス、給排水の接続など、見るべきポイント、確認事項は全て把握し、現場環境に応じた最適な機器・設備の選定を行います。搬入時の立ち合いから、納入後の機器・設備の取扱説明、アフターサポートまで、給食室で機器を扱う方が安心・安全な給食が提供できるよう、しっかり対応します。
空間を把握する力
搬入に際しては、下見をして扉や通路の状況を確認し、機器や設備のサイズを正確に把握していても、実際に運び込んでみると、入り口を通らない、通路を曲がれないといったことが起こります。その場合は、ドアを外したり、機械や設備を分解したりするなど、現場で対応することもあります。実寸だけでなく、空間として、その場を把握し判断する能力が求められるので、経験を積むほど、現場を見極める精度は上がります。
つながりが広がっていく
小規模の機器入れ替えから大規模改修まで案件に応じて、4〜16名くらいの人員が関わります。厨房機器以外に、空調や給排水、ガス・電気といった関連設備の専門業者とやり取りすることも多く、関わる人が増えれば、その分、仕事に感じる手応えも大きくなります。一緒に仕事をすることで、関連分野の知識が増え、人脈も広がっていくので、そうした人のつながりやそこで生まれる関係性が、この仕事の魅力の一つだと思います。一昨年、業務用厨房に関する民間資格である日本厨房工業会の厨房設備士2級を取得しました。職長や主任技術者として現場に立つには、厨房機器の生産設備施工、保守・衛生管理など、広範囲な専門知識を有すると認められるこの資格が必要です。資格を取得したことで、現場でお客様に直接お話する機会も増えました。お客様の自身に対する見え方が変わり、資格が知識・技能の裏付けとなり、信頼につながっているように感じます。
現場の声に喜びを感じて
この仕事は、実際に現場を見て確認し、疑問点を調べながら解決していく仕事です。一つ一つ課題をクリアし、お客様のニーズや環境に合った機器・設備を提供する、そのプロセスを楽しむことできる人には、大きなやりがいが感じられる仕事だと思います。それぞれの現場で得た知識や経験を積み重ねることが、自分の成長につながり、いいものを造れば、給食室で働く人たちからすごく喜ばれます。そういう現場で使っている人の声が直接聞けることが、いちばん嬉しいし、モチベーションになります。子供たちの日々の笑顔のために、現場の人たちに納得してもらえる最良の給食環境を提供していきたいと思います。
給食設備は進化している!
給食室は温度25度以下、湿度80%以下の環境下での作業が定められており、汚染エリア、非汚染エリア、清浄エリア、配膳エリアと作業区域が分かれています。最近の給食設備は、ウェット式からドライ式へと進化しており、菌の繁殖を抑えるため、なるべく水気を抑え、水気を飛ばさないよう衛生的に配慮されたドライ仕様になっています。特に流し台は、シンクに流れた水が外に跳ねない、跳ねても周りに飛散しないように水切り、水返し(リブ:シンク内の突起)が備えられています。電気・ガスなどの熱源も、できる限り外部に熱を放射しない機器が主流です。
社名 | 新日本厨機株式会社 |
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本社所在地 | 東京都大田区蒲田本町1-4-1 |
TEL | 03-3734-8171 |
主な業務内容 | 業務用厨房機器の製造・販売及び設計施工。(学校給食・保育園・老健施設・社員食堂) |
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