“鉄筋コンクリート”といわれるように、コンクリート建築は、骨組みに鉄筋=鉄の棒を入れることで、強度や耐久性を高めています。この鉄筋をカゴ状に加工して組み立てる建物の骨格づくりを担う鉄筋工として、日々、建築現場で鉄筋工事に携わる、矢島鉄筋工業株式会社の市川光弥さんにお話を伺いました。
建物の骨組みを造る、鉄筋工
鉄筋は、オフィスビルやマンションといった大規模な建築では、床、柱、梁などの基礎部分に入っています。コンクリートの建築物を支える骨組みとして使用する鉄筋のサイズや形状、本数は、建物の大きさや形によって異なりますが、コンクリートの建物を丈夫にするために入れるので、建物の駆体にとって重要な部分には、強度のある太い鉄筋を使用します。作業の手順は、建物によってそれぞれですが、鉄筋工事は地下から順に地上階までミルフィーユ状に重ねて造っていくので、広いフロアで1週間くらいかけて骨組みを造り、その作業を積み重ねながら、建物ができるまでに、だいたい2年くらいかかります。これまでマンションやオフィスビルをはじめ、スタジアムやグラウンドなどの建築物を手掛けました。
きっかけは、結束
子供の頃から建築の仕事に関わりたいと思っていたことから工業高校に進みましたが、授業でいろいろ体験する中で、いちばん面白かったのが「結束」です。格子状に組み立てられた鉄筋の交差部分を結束線という専用の針金でクルクルっと巻きつけて固定し、骨組みの強度を高める「鉄筋結束」という作業ですが、これをやってみたいと思ったのが、この世界に入ったきっかけです。高校時代は、鉄筋工の存在をよく知らなかったので、単純に楽しそうだと思っていたのですが、重い鉄筋を毎日担ぐので、体力的には結構、ハードです。作業は細かくて難しいですが、それを達成し、建物が完成した時、自分が造ったという実感が湧いてきて、やりがいを感じられるのが、この仕事の魅力だと思います。
現場は楽しく、がモットー
現場で鉄筋工のトップとして、みんなをまとめるのが職長ですが、今、サブ職長として、その補佐をしています。職長がいない時に現場の状況を見ながら、作業の段取りを決め、班ごとの人数や作業の割り振り、メンバーへの指示などをするのが役目です。普段からコミュニケーションをとって信頼関係を築いておかないと、作業がスムーズに進まず、現場の安全にも影響するので、とにかく「現場は楽しく」をモットーに、仲良く楽しい現場を心がけています。 暑い日も寒い日も、現場で難しいことに取り組んできた経験があるので、何でも自分から進んでチャレンジできるようになりました。少しずつできることが増え、作業スピードが速くなり、役に立って褒められることが自信につながり、成長の手応えにもなっています。
ダイナミックに、繊細に
鉄筋工は、大きなものを扱うダイナミックな仕事ですが、繊細さも求められます。現場によって施工内容や図面が変わるため、覚えることがたくさんあり、また他の工事作業との兼ね合いで、進捗に応じて柔軟に対応しなければなりません。毎日違うことをやるので、周りの状況をよく見ながら、細部まで気を配って作業を進めていくことが必要です。鉄筋の量や間隔を表す構造図は最初、見方がまったくわかりませんでしたが、職長に何度も訊きながら覚えました。もっと細かいところまで読み取れるようになって、後輩にも教えられるようにならなければと思っています。
子供に自慢できる仕事を目指して
今、4 年目ですが、サブ職長として人を動かす力がまだまだ足りません。もっと経験を積んで、作業の段取りをしっかり理解した上で、ベテラン、新人の関係なく、どんな相手に対しても自信を持って正確に指示を出し、的確に動いてもらえるようにしていきたいと思います。現場でいろいろ吸収し、多くを学ぶことで、周囲に目配り・気配りが利き、みんなから頼りにされるような職長に、いつかなりたいと思います。 将来、ランドマークになるような建築に携わり、子どもに“お父さんは、これを造ったんだぞ”と自慢したいですね。そういう記憶に残るような建築物に関われるところが、鉄筋工の仕事のいちばんの面白さだと思います。
日々の作業が、筋トレ?
日々、現場で鉄筋を担いでいるので、筋トレで鍛えたような身体つきになりました。腕の筋肉だけでなく、気づいたら、鉄筋を担ぐ肩のあたりの筋肉もついて、硬くなっています。買い物の時は、重い米でも軽々と持てるようになり、家族には喜ばれています。
社名 | 矢島鉄筋工業株式会社 |
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本社所在地 | 〒131-0043 東京都墨田区立花5丁目12-5 |
TEL | 03-3619-9111 |
FAX | 03-3619-9117 |
主な業務内容 | 鉄筋工事/鉄筋加工及び組立工事施工 |
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