• HOME
  • 特集記事
  • 匠の技を見て、さわって、体験しよう (後編)
匠の技を見て、さわって、体験しよう (後編) catch
#32

ものづくり・匠の技の祭典2022

匠の技を見て、さわって、体験しよう (後編)

リポーター
ものづくり部 部長 わざねこ

伝統的な匠の技やものづくりの技能・技術の魅力を発信する「ものづくり・匠の技の祭典2022」。日本のものづくりの伝統を受け継ぐ若い人たち向けのプログラムや座談会、東京以外の地域からの出展ブースの様子などを、わざねこがお伝えするよ!

未来の匠たちが、日本のものづくりのこれからを熱く語ったよ!

未来の匠たちが、日本のものづくりのこれからを熱く語ったよ!

若者向けイベントコーナーでは、ものづくりのこれからについて語る若手職人さんの座談会が開催されていたよ!過去にものづくり部特集記事で取り上げた、溶接士の中村翠さん、パティシエの宇川景子さん、家具職人の遠藤隼さんが登壇、ものづくりの面白さややりがい、目指す職人像など、熱いトークを繰り広げたよ。

ドロッパー

一度家庭に入ってから社会復帰して溶接士になったり、保育士の資格を取得してからパティシエの専門学校に入学したり、30歳を目前に家具職人に転職したり、職人の道に入ったタイミングは三者三様。職人さんは、若いうちからその業界に入っていないとダメなのかなと思っていたけれど、子供の頃からの「ものづくりが好き」という想いで、いろいろな道を経験しながら職人になることができるんだね。人生は一度きり、好きなことを仕事にするチャンスは誰にでもある!だから、年齢や性別、未経験であることなど、不安や迷いはあっても飛び込んでみてほしいという言葉に励まされたよ。


[3人の特集記事は、こちら]
溶接士 中村 翠さん 
パティシエ 宇川 景子さん  
家具職人 遠藤 隼さん 




現役高校生と卒業生が、工業高校の魅力をアピール!

現役高校生と卒業生が、工業高校の魅力をアピール!

「工業分野を担う高校生が熱く語る!座談会」は、前半、技能五輪に出場した都立工業高校の卒業生2名が登壇、技能五輪の体験談などを語ったよ。技能五輪全国大会は、23歳以下の国内の青年技能者を対象に、42の職種で技能レベル日本一を競う大会。お二人が出場した建築大工職種では、大会の2カ月くらい前に「小屋組」という屋根の形を作る課題が発表されたら、本番に向けて図面の研究や木材を加工する練習を重ねるんだ。仕事を休んで準備に集中する選手もいるんだって!大会では1日目7時間、2日目5時間と、長時間にわたる課題製作で、体力的・精神的にとても大変と語っていたよ。二人とも大工さんを目指して、中学校卒業と同時に弟子入りするか迷ったけれど、高校卒業の資格を取っておこうと工業高校に進んだそうだよ。結果、自分が目指す業界以外の勉強もできたし、将来の選択肢や他業界に進む仲間とのネットワークも増えたから、工業高校に進んで良かったんだって。しかも、建築大工技能士やとび技能士、溶接、危険物取扱者など、さまざまな資格を在学中に取得できるんだ。これも工業高校の大きなメリットだね。

反り台鉋(そりだいかんな)/四方反鉋(しほうぞりかんな)

後半は、産業系と技術系の工業高校に在籍する現役高校生による専門学科高校の紹介。東京都には現在、22校の工業学科系の都立高校があるんだ。1つの都道府県における工業系高校の数としては、全国的にもトップクラス!ものづくりから流通、販売までを総合的かつ実践的に学ぶ全国でも数少ない産業高校では、産業技術に関する基礎的な知識と技術や、彫金、ガラス工芸、染色などの伝統工芸を学ぶ一方、コンピュータを使ったデザインや造形などにも力を入れていて、伝統と最新技術を融合する新しい価値創造に挑戦しているんだ。科学技術科設置校では、科学技術者、研究者として活躍する人材の育成を目指し、研究活動や発表会、フィールドワークなど、特色のある取り組みを取り入れているんだって。工業系の高等学校といっても多種多様で、学び・経験・取得できる資格もいろいろ。登壇した生徒たちはみんな生き生きとしていて、充実した高校生活を送っている様子がうかがえたよ。いいね、工業高校!





高校生などが裏千家の茶道を体験

高校生などが裏千家の茶道を体験

若者向け体験プログラムとして、高校生が裏千家のお点前(てまえ)を体験したよ。まずは、和装着付け体験で浴衣を着付けてもらい、茶室前に集合。この茶室は、「ものづくり・匠の技の祭典」を初めて開催した2016年に、造園、左官、建具、表具、タイルの匠たちがその技を結集して造り上げた「匠創庵」。4時間程で組立てできるユニークだけど、本格的な茶室なんだ。タイル張りの露地を通り、「にじり口」という狭くて低い入り口へ。なぜ隠し扉みたいな入り口かというと、裏千家の祖・千利休が、茶室の中ではみんな平等ということを示すために、頭を下げなければ入れないほど低くしたんだって

参加者は、座った時の手の合わせ方、手先を八の字にするお辞儀の作法、お茶のいただき方を教わり、いよいよお点前。お茶の前にまず、お菓子をいただくんだ。お茶を出されたら、茶碗を次の人との間に置き、「お先に」と挨拶。茶碗を自分の内膝の前に置いたら、ご亭主に挨拶して、「お点前、ちょうだいします」とおじぎし、茶碗を左手にのせて、右手を添え、手前に二度回す。これは相手に茶碗の正面を向けて敬意を表し、謙虚な心でいただくため。飲み終えたら、飲み口を人差し指と親指で拭き清め、二度回して元に戻し、畳の縁外に置いて、茶碗を拝見。茶碗からご亭主の意図や心を汲み取るのは、相手への礼儀でもあるんだ。奥深い茶道の世界の一端に触れた貴重な時間。作法は難しそうだったけど、茶室ではすべての人が平等で、一つ一つの所作に気を配り、相手を敬うことが重要なんだね。





全国のこけし2,000点以上が勢揃い!

全国のこけし2,000点以上が勢揃い!

祭典では、東京以外の地域からの出展もあったんだ。青森県からやってきた「津軽こけし」のブースでは、こけしの絵付け体験や匠による製作実演、そして、青森県・津軽地方の作品を中心に、東北6県の伝統こけし工人の手による作品など、全国各地のこけし2,000点以上を展示・販売していたよ。昔ながらの伝統的なこけしから、今風にアレンジされた作品もあり、こけしの幅広さにびっくり!今、津軽のこけし工人会には17名が所属していて、こけしづくりは、師匠について弟子が学び、その技術や作風を受け継ぎながら続けられているんだ。手づくりのこけしの魅力は、その多様さ。きれいな顔立ちのこけしを作る人もいれば、親しみのある顔立ちの作品もあって、作家の個性によって描き方が違うのが魅力。キレイ系、面白系、子供が描いたような素朴系など、いろいろ。こけしの表情を見比べて、お気に入りのこけしを見つけるのも楽しいね。



「ものづくり・匠の技の祭典2022」レポートは以上です!匠の技を見て、さわって、体験できて、わざねこのものづくりへの関心は、より一層深まったよ。みんなにもぜひ、こうしたイベントなどの機会に、ものづくりの面白さに触れてほしいな。

#バックナンバー

レーザーの力で、ものづくりの今を支える。#101

レーザーの力で、ものづくりの今を支える。

レーザー加工は、材料に高密度のレーザー光を照射することで、切断、溶接、穴あけなどの加工を行う技術です。樹脂やガラス、金属など、多様な素材に対応し、高い精度で、複雑なパターンの加工や微細な加工が可能です…

詳しくはこちら

高精度な加工技術をベースに、新しいものづくりに挑戦。#100

高精度な加工技術をベースに、新しいものづくりに挑戦。

「ものづくりのまち」「中小企業のまち」として知られる、大田区。3,000以上の工場が集まり、卓越した加工技術を持つ町工場の数も多く、さまざまなものづくりが行われているよ。そんなものづくりのまちで、基盤…

詳しくはこちら

東京の伝統工芸の魅力と技に触れる展示会。#99

東京の伝統工芸の魅力と技に触れる展示会。

東京の伝統工芸品が一堂に会し、その魅力を紹介する「第68回東京都伝統工芸品展」が新宿高島屋で開催され、多くの人で賑わったよ。1月15日(水)から20日(月)の期間中、伝統工芸品に触れられる機会として展…

詳しくはこちら

記憶に刻まれる印刷物を目指す。#98

記憶に刻まれる印刷物を目指す。

特殊なインクや加工技術を用いることで、印刷物に独特の風合いや視覚的効果をもたらす、特殊印刷。ポスターやパンフレット、書籍や雑誌の表紙などに、「箔押し」 「アルミ蒸着」 「PP貼り加工」「擬似エンボス加…

詳しくはこちら

ビルの建設を支える、さまざまな専門技能。#97

ビルの建設を支える、さまざまな専門技能。

街を形作る、さまざまな建築物。オフィスビル、マンション、商業施設などの建築物を建てる際には、数多くの技能職種が関わり、それぞれの専門的な知識と技能を活かしてプロジェクトを進めているよ。ビル建設に関わる…

詳しくはこちら

現場の安全と作業の円滑な運営を担う、要の仕事。#96

現場の安全と作業の円滑な運営を担う、要の仕事。

東京都では、年に一度、都内に勤務する技能者の中から極めて優れた技能を持ち、他の技能者の模範と認められる方々を「東京都優秀技能者(東京マイスター)」に認定し、東京都知事賞を贈呈しています。今回は、令和6…

詳しくはこちら

同世代の海外選手と競い合い、刺激を受けた4日間。#95

同世代の海外選手と競い合い、刺激を受けた4日間。

2024年9月にフランスのリヨンで開催された「第47回 技能五輪国際大会」貴金属装身具職種で、学校法人水野学園 専門学校ヒコ・みづのジュエリーカレッジの福島大志さんが銅メダルを獲得しました。ジュエリー…

詳しくはこちら

憧れから、ひたむきに大工の道一筋。#94

憧れから、ひたむきに大工の道一筋。

木造建築物の新築やリフォーム、修繕工事など、住まいづくりに携わる、建築大工。設計図をもとに木材を加工し、土台、骨組み、屋根、壁や天井などの内装の下地づくりを担うとともに、現場に関わる職人をまとめ、住空…

詳しくはこちら
  • はたらくネット
  • ものづくり・匠と技の祭典2023
  • 東京マイスター
  • 技のとびら
  • 東京都職業能力開発協会
  • 中央職業能力開発協会
TOPに戻る
TOPに戻る2