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専門技術で公共設備の清掃業務を担い、暮らしと社会を支える。 catch
#51

産業洗浄

専門技術で公共設備の清掃業務を担い、暮らしと社会を支える。

株式会社町田清掃社
環境整備部工事課 苅谷 直人さん

公園や下水道、道路など、公共設備の清掃業務の中でも、専門的な技術を駆使した清掃作業を担う産業洗浄技能士として活躍する、株式会社町田清掃社の苅谷直人さんに、産業洗浄の仕事について伺いました。

全国どこでも必要とされる仕事

全国どこでも必要とされる仕事

清掃関連なら全国どこでも必要とされる仕事なので、手に職をつけたいと思い、前職で6年程、技術職として下水道関連の高圧洗浄作業などに携わりました。地元に戻るタイミングで、今の会社に転職し、現在は公園内の水路清掃、公共下水道関連では下水管の清掃、側溝周りの清掃、マンホール内の洗浄、そして道路清掃などをメインに手がけています。同じような作業でも、自治体によって依頼内容や調査項目、判定基準が違うため、段取りや方法、求められる技術は変わります。今の会社は以前よりも仕事の領域が広いので、それぞれの作業で必要とされることを覚えている最中です。

安全第一を心がけて

安全第一を心がけて

現在担当している公園の水路清掃は、基本的に月1回ですが、子供たちが水遊びをする夏場は頻度が高くなります。作業には判定基準があり、自分はまだ経験が浅いので、仕上がりを上長にチェックしてもらいます。例えば、高圧洗浄をする際に、ノズルの当て方や角度が決まらず、狙った場所に当たりきれていないと、汚れが除去しきれず、当たり線が引きムラとなって残ってしまいます。そうした反省点は、次の現場に向けた課題としてクリアできるよう意識しながら、細かい作業ポイントを体得していきます。清掃作業は現場仕事なので、万が一怪我や事故があれば、作業が止まり、関係者に迷惑をかけてしまいます。何よりもまず安全第一を心がけ、日頃の健康管理にも留意しています。

時間にあらわれる、経験の差

時間にあらわれる、経験の差

現場では、タイムスケジュールを守ることが重要になります。例えば、収集した産業廃棄物を中間処分場に持ち込む場合は、17時までというタイムリミットがあるので、それに合わせて作業を進めなければなりません。現場全体をよく見て、段取りを組み、チームで共有しながら、各自が作業を的確かつスピーディーに進めることが時間の短縮につながります。最初に作業工程をイメージして臨むと、スムーズに進めることができますが、逆に何も考えずに作業に取り掛かると、思うようにはかどりません。考えなくても現場で何とかなるのは、経験を積んだ人だけ。経験豊富な人は、現場全体の状況をよく見て的確に対応するので、同じ作業でも半分ほどの時間で終えてしまいます。場数を踏んで、臨機応変に対応できる能力を身につけていくことが大切で、経験の差は時間にあらわれます。

資格取得で広がる、仕事の領域

資格取得で広がる、仕事の領域

この仕事は、資格がなければできないことがたくさんあり、資格を取得することで、仕事の幅は広がります。例えば路面清掃では、ロードスイーパーと呼ばれる大型の路面清掃車で路面をブラシで掃きながらゴミを回収しますが、それ以外にも、埃が立たないよう路肩に水を撒く散水車、路面清掃車が吸い上げたゴミを積み替える為の中型ダンプカー、路肩に落ちている大型ゴミを回収する小型ダンプカーといった作業車両を動かすために、大型車や大型特殊車両の免許が必要です。現在私が持っている資格は、玉掛け技能、クレーン免許、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者、ダイオキシン類作業従事者、職長・安全衛生責任者、産業洗浄技能士、刈払機取扱作業者、低圧電気取扱業務などですが、今後は下水道管路管理技士資格の清掃部門、調査部門にチャレンジしたいと思います。こうした資格を取得しながら経験を積み、より広い分野で貢献できるよう頑張ります。

暮らしを支える仕事

暮らしを支える仕事

当たり前ですが、どのような場所でも清掃作業を終えると、見事にきれいになります。特に長い作業工程を終えた時の達成感は大きく、洗浄して汚れがすっかり落ちると、本当によかったなと思います。普段、あまり気にならないかもしれませんが、私たちの仕事が滞れば、下水が溢れ、道路にゴミが散乱し、社会生活は滞ります。この仕事は日々の暮らしを支える大切な役割を担っており、その意味でも、やりがいや手応えが大きいと思います。

伏せ越し管(ふせこしかん)って、何?

普段、人があまり入らない、目に触れない場所で作業をすることが多いのですが、これまででいちばん印象に残っているのは、「伏せ越し管(ふせこしかん)」です。下水道管を設置する際、河川や電車の線路などの障害物があると、管を真っ直ぐ通せないため、障害物を避けて川底の下や線路の下を通す構造にして、上・下流管の水位差(サイフォン式)で下水を流します。管の存在自体は知っていましたが、初めて清掃作業で入った時は、ちょっと怖かったです。地下の奥深い場所なので、ガスが発生していることもあり、危険を伴います。通常の下水管と構造が違うため、汚れや臭いが酷く、高圧洗浄車や吸引車などを使って管内に堆積した土砂などを除去します。

社名 株式会社町田清掃社
本社所在地 東京都町田市木曽東2丁目6番18号
TEL 042-722-1973
主な業務内容 【営業種目】
一般・産業廃棄物収集・運搬、浄化槽清掃・維持管理、道路・公園清掃・維持管理、
下水道管内清掃・テレビカメラ調査、建物清掃・維持管理、受水槽他各種槽清掃、建物排水管清掃、
電気・冷暖房等設備保守、マンホールポンプ場・処理場機械運転管理、各種工業薬品販売、
アニコ剤・活性炭等脱臭剤の交換、仮設トイレリース・販売
【工事部門】
各種給排水衛生工事、各種ポンプ・機械器具設置工事、空調設備工事、管渠内止水工事
ホームページ 株式会社町田清掃社のホームページへ

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